■ TOP絵メイキング ■
■ 1 制作テーマ・キャラクター設定 ■
はい。
というワケで。
今まで散々公開を避けてきた28のイラストメイキング風景です。
僕はあんまり、自身が「生身の人間」だということを意識したくないので、極力、生身っぽく感じる画像を残しておりまセン。
それは例えば、夕食のおかずだったり、飲んでる酒だったり、旅行の写真だったり。それらは普段、ブログにUPしても2・3ヶ月ごとに記事を全削除してしまいます。
日記というメディアも、自分の生きている「時間」を感じさせるものなので、長時間残しておきたくないのです。
メイキングも同じ理由です。
制作風景というのは、発想からできあがるまでの、時間の流れを感じさせるもので、いい気分ではありまセン。
しかし、他の回と同様、ちょっとした事情もありまして、イラストのメイキングを掲載しようと思い至りまシタ。
★
下の写真は僕の書斎机デス。
学生時代からこの周囲の構造自体は変わっておりまセン。
ペン立て:リッツの大きな缶。もちろん中身は食べまシタ。
左手上段:アナログ着色の道具。絵具・色鉛筆・クーピー他。
左手下段:クリアファイルでまとめた、シリーズごとの制作資料。
画面奥:黒いのは、A3ファイルとライトボックスの裏面です。
画面中央:下敷きは小学校時代から使っている版画板。黒い(笑。
右手上方:ちょっとしたメモをぶら下げておいています。
右手中部:インクやマスキングテープ等お馴染みの道具です。
右手下方:すぐに使うツールはペン立てには入れずココに置きます。
さて。
それではTOP絵を作っていきまショウ。
今回のTOPのテーマは「可逆熱機関」です。
べつにテーマが決まっていない時もあれば、こうして描きたいモノを決めてから取りかかる時もありマス。
ぐでぐでデスw
可逆熱機関とは、カルノーという人が生涯にただ一度だけ発表した熱に関する理論で、それ故カルノーは天才と呼ばれます。
その理論自体は勝手に調べていただいて、つまるところ僕は突然、
「……俺は可逆熱機関なんだよ」
と好いている女性に言ってしまう、研究畑の不精な科学者を描きたくなったのです。
よろしい、ならば描きまショウ!
■ 2 キャラクターのイメージラフ ■
まず本描きの前に、ある程度キャラを固めておく必要がありマス。
普通はB5のコピー用紙に2〜5枚程度ラフ画を描きます。紙が勿体無いので、裏表使って描きます。
主人公の科学者です。
最初に描いたのは右上で、なよなよした色白のソバカス眼鏡青年風。
が、しっくりこなかったので、もっと太くして眼鏡は取り、ムスっとした雰囲気を出すよう、左のように直しまシタ。
名前の読みは「トジタケイ」がいいなと決めていたので、閉立や綴多、などと悩んだ結果、閉竹(とじたけ)ケイでいいじゃん、と妥協。
エントロピーの中で、宇宙から孤立した存在を「閉じた系」と呼ぶところから。
ただ、普段はそんなに名前をつけまセン。
ヒロイン役の女性デス。普通の女子大生スイーツ。悲し顔。
が、しかし。
コレはボツにしました。ありきたりな恋愛モノは描き飽きているのでもう少しひねりが欲しかったのです。
そんなワケで次に少年が出てきまシタ。
ぶっちゃけ2人の子供です。
どんだけ時間進んだんだwwwまあ気にしまセン。この子は後に、現在ゲーム企画で進め中の、某バーの近くで獣医を営む予定デス。
もう少しツリ目でも良かったと思います。
ここまで決まったところで、次はいよいよラフの下描きに入っていきマス。
■ 3 第1下描き ■
ここから当分下描きのターンです。
僕の場合は、下描きを3つの段階に分けて行っておりマス。
第1下描き:人物の位置決め・必要ならパース取り。
第2下描き:描きたい部分(人物)から始めて、一通り描きこみ。
第3下描き:難しく資料が必要な細部の描き込み・全体を見て修正。
一般的には、これらは分離・混合されていて、まず、位置決めやらパース取りは「下描き」と言わない(らしい)し、第2と第3下描きはまとめて「下描き」としてしまうようデス。
僕のように、
× ひとつの絵を完成させてから次の絵にとりかかる。
○ 10枚以上の絵を少しずつ平均的に完成させていった方が楽。
と考えているのなら、下描きは段階別に何段階もあったほうが、区切りとして楽です。
ひと区切りついたから、別な絵に移ろう、という風に。
色付け・効果も、全てをまとめて「色付け」と呼ばずに4段階用意。
何年かかっても、最終的に仕上げられればそれで良しとしています。
そのため、現在UPしている20@@年の絵、という仕切りは本来必要のないものです。
この間UPしたものが、なんと8年前に着色していたモノだったり10年前に第1下描きしていたモノだったり……。普段でも、3年がかりとか普通にあります。
で、第1下描きです。
もうこの適当さがにじみ出ている感が自分でもなんともいえまセン。
とにかく画面バストアップなので、今回はパース取りは必要ないと判断しまシタ。
それよりも中央の円柱の、円の部分が大事です。コレは今の段階で描くのではなく、第3下描きに回してしまいます。
次に、ある程度使い込んだネリ消しを円柱状に丸め、ローラーのように紙の上でゴロゴロさせマス。
これで、主な線だけ薄く残り、第1段階は終了です。
■ 4 第2下描き(本下描き) ■
最初はサラっとアタリだけとって、その後また薄く消してしっかり
描いていきマス。
鉛筆は三菱のBを使用しております。
口は最後に描くのが28流。表情を一番顕著に表しているのは目と口だと思っていマス。
これにて第2下描きは終了です。
■ 5 第3下描き ■
下描きも最後の段階デス。実験器具と、人物の口を描き込みます。
だいたいどのような効果にしたいかもこの時点で下描きに入れ込み、着色時の明暗、影、照り返しなどもできれば描きたいトコロです。
今回は比較的簡単な小物でシタが、銃や鎌などの武器系や、ゴス系衣装・ガラス・魔法陣、花・背景などもこの第3下描きで入れます。
通常は、ここまでの工程を2〜3時間かけて行いマス。
というのも、僕は飽きっぽいので、一区切りつくごとに紅茶を飲んだり、ちまちま掃除したり、ネットサーフィンを楽しんだり、動画を見たり、ぬるぬるしながら描くので。
実際にかかる時間は30分〜1時間ほどです。
早ければ20分くらいで描き終える事もありマス。
■ 6 ペン入れ ■
下描きが終わったら次はペン入れです。
通常はパイロットのHI−TEC−C、0.3の黒で入れマス。
TOP絵は、B5のコピー用紙を半分に折ってB6サイズで描いているので、半分、余りますよね。その半分を折り返してペンを入れていきます。
エコ……というか、消しゴムがけが面倒なだけデス。
ライトボックスは滅多に使いまセン。なので、大抵は限りなく一発描きに近い状態でペンを入れます。
下描きに忠実に、などとは全く思っておりません。
細かい部分が多いときには、直接下描きからなぞりマスが、稀です。
その際にはやはり、練りケシで下描きラインを極限まで薄くしてから行います。
ハイ。
できあがりまシタ。
下描き時とは大違いですね!