■ 課題詩 ■

■ 「すいかの名産地」 高田三九三 ■

 ともだちができた すいかの名産地
 なかよしこよし すいかの名産地
 すいかの名産地 すてきなところよ
 きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地

 五月のある日 すいかの名産地
 結婚式をあげよう すいかの名産地
 すいかの名産地 すてきなところよ
 きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地

 とんもろこしの花婿 すいかの名産地
 小麦の花嫁 すいかの名産地
 すいかの名産地 すてきなところよ
 きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地

■ 「わたしたち、結婚するの!」「( ゚д゚) ……( ゚д゚ )は?」 ■

【登場人物】

 S郎 すいか農家の跡取り息子

 K子 S男の幼馴染
 T男 K子の婚約者


【きれいなあの子とS郎の五月】

 4月。S郎が畑の畝(うね)にすいかの苗を植えていると、砂利道に軽自動車が停まった。
 おりてきたのはK子と見知らぬ男性。男は「T男」と名乗った。

 K子「こちらはS郎くん、わたしの幼馴染! S郎くん、こっちはT男くんね」

 無理やり握手させられるS郎。
 K子としては、男同士仲良くしてほしいのだろう。仕方なく「よろしく」と笑った。

  >ともだちができた すいかの名産地
  >なかよしこよし すいかの名産地

 T男「何を植えているんですか?」
 S郎「すいか」

 K子「S郎くんの家はすいか農家なんだよ! すいか美味しいんだよ、ねっ」
 S郎「……お、おう……まぁな」

 K子「あっ、S郎くんコレ」
 S郎「?」

 K子「結婚式の招待状! わたしたち、結婚するの!」
 T男「ぼくたち結婚します」

 S郎「( ゚д゚) ……( ゚д゚ )は?」

  >すいかの名産地 すてきなところよ
  >きれいなあの娘(こ)の晴れ姿 すいかの名産地

 5月某日。すいかの苗はすこしだけ成長している。
 K子とT男の結婚式がはじまった。
 今日は晴れている。

  >五月のある日 すいかの名産地
  >結婚式をあげよう すいかの名産地

 幼馴染で家同士の付き合いも深いため、S朗の家は一家で招待された。
 300人を越える大人数の招待客。
 S朗は、遠くの高砂に座っているK子を見つめている。

  >すいかの名産地 すてきなところよ
  >きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地

 舞台のテーブル左には、ヒョロ長いT男が照れくさそうに笑っている。
 舞台のテーブル右では、K子が幸せいっぱいに笑っている。

  >とんもろこしの花婿(むこ) すいかの名産地
  >小麦の花嫁 すいかの名産地

 小さい時、結婚しようと約束した。
 そんなものは所詮、儚い夢だとわかっている。
 草で作った指輪。
 あの時捨てたと言ったけれど本当は、ほんとうはまだ――、辞典にはさんだままだ。

 司会者「では、ケーキカットです! 写真を撮られる方はどうぞお近くに!」

  >すいかの名産地 すてきなところよ

 母親「アンタ、二次会どうしたの? 一旦帰ってから出るの?」
 S郎「いや、断ってきた。苗の水撒きすっから」

 母親「そんなのかーちゃんやっとくから! 行きな! K子ちゃん喜ぶでしょ」

 S郎「――いいんだってば!」

 母親「………」
 S郎「いや、とにかく、水撒いてくるから」

 夕焼けが近い、肌色の空。
 行儀良く並んでいるすいかの苗は、数ヵ月後には暴れ放題に成長しているだろう。

 撒いた水に、すこしだけ塩分が混じった。

  >きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地

■ 歌詞解釈 ■

 すいかの名産地は、もともとアメリカ民謡の曲「Old Macdonald Had A Farm」が先にあり、そこに複数の歌詞がつけられたものです。
 「ゆかいなまきば」は小林幹治氏、「すいかの名産地」は高田三九三氏による作詞です。
 Googleで検索してみると、主題のフレーズ「すいかの名産地〜♪」は、日本語の響きを楽しむもので特に意味は無いとか……。

 僕には、すいか農家である一人の男の失恋歌に見えました。
 ちょっぴりロマンチストなS朗と、もう大人になったK子、突然K子をかっさらっていったT男。

 1〜3番の最後にある「きれいなあの娘の晴れ姿」の繰り返しは、ずっと子供の時の約束を持っていたS郎をうまく表していると思います。

 1番では「はあああ? K子が結婚?!」と驚きつつもK子の晴れ姿を想像して「か……可愛いじゃねーか」なんて思ってしまうS郎。
 2番では結婚式本番の、本物の、輝いているK子の晴れ姿。
 3番では夕日のもとで、感傷的に思い出されるK子の晴れ姿へと移っていきます。

 泣けるNHKドラマですね!


【ただ、ひとつケチをつけたい】


 農 家 な ら 、 結 婚 式 は 閑 農 期 に や れ 。


 5月って。
 水撒き全盛期ですよ。暇なわけないじゃないですか!
 この時期に世話を怠ると、うね全体が枯れてしまう可能性もあるので気を使うんですよね〜。

 ちなみに実家が農家の僕は、もちろん、結婚式は12月(閑農期)に挙げました。


 さて。
 ではどうしてK子とT男は5月に結婚式なんて挙げてしまったのでしょうか?

 舞台はすいかの名産地なので、当然K子の家もすいか農家でしょうに。
 問題をつきとめるには「この詩が、曲先にありき、という状態で作られたもの」だと考えるところから始まります。

 1 曲
 2 「すいかの名産地〜♪」という主題のフレーズ。
 3 結婚式

 こういう順番で決まっていったと僕は推測しています。

 1「ファ・レ・ド・レ・ファ・レ・ド」というリズムが既に決定している。
 2「ファ・レ・ド・レ・ファ・レ・ド・すいかの名産地〜♪」というフレーズが決定している。
 3 いつ結婚式をするのか語呂を考える。

 こういう過程で「○月のある日・すいかの名産地」ができあがる。

 次に、○に入れる事ができる「二文字ではなく一文字で月を表す言葉」を羅列していきます。

 2月 4月 5月 9月

 僕がもしこの中から結婚式にふさわしい月を選ぶとすると、リアルに考えたら当然2月ですが、「すいかの名産地=夏」というイメージから2月&9月は却下。あたたかい日がいいなぁと考えます。
 更に4月と5月どちらかで結婚式をするとなると、五月晴れというイメージ及び「すいか=緑=緑が茂るイメージ」から5月を選びます。
 結婚式なんだから、晴れてほしいですよね。

 しかし本当に5月は晴れが多いのでしょうか……?

 天気の出現割合では、4月も5月も晴れの日の割合はそんなに変わりません。
 むしろ2月が一番晴れ間が多い!


 と、ここで
「千葉県印旛郡富里町立浩養小学校のHPで「スイカの名産地という歌の発祥の地です」と書かれています。生産高においては県内トップ、出荷量も全国第2位を占める町だそうです。」
 という有力な情報を見つけました。

 じゃあ千葉の晴れ具合はどうなんでしょうか?

 ………。

 ………。

 2月が最強の晴れ月じゃねーか!!


 これを踏まえて先の疑問にこう答えましょう。


 Q:どうして5月に結婚式なんて挙げてしまったんですか?

 A:語感と五月晴れっていうイメージです。

 と。

■ とうもろこしの花婿と小麦の花嫁について ■

 1:顔イメージ解釈

 とうもろこしみたいな男の子、居ますよね。
 しょうゆ顔+そばかす&顔がちょっと長い。みたいなね!

 小麦は、ちょっと焼けた肌で丸い小顔で笑顔がアンパンマンみたいなQちゃんですよ!
 Qちゃん可愛いよQちゃん。


 2:農家イメージ解釈

 S郎→すいか農家

 K子→小麦農家
 T男→とうもろこし農家

 そして主食と主食が結婚して、中身が甘い水のすいか農家S郎が一人悲しく失恋するわけです。

 米じゃないところは、アメリカ民謡というのを大事にした結果だと考えましょう。


 3:リアル解釈


 収穫時期かぶってないから結婚無理。


【終わりに】


 ここまで色々考えてきましたが、とにかくS郎には幸せになってほしいよな……。

 3番で「花婿」と「花嫁」が出てきているのに「きれいなあの娘の」となっているところから、あぁそうか、登場人物は3人だ。
 と考えたあたりから妄想が止まりませんでした。サーセン。


 あっ……全然批評じゃないや。
 こんな感じでHHM2に参加できるんですかね、僕。