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下手人を埋めた桜がもう咲く
夢みる時雨に名持たぬ花よ散れ
「見て」幻想のハルを病室にて
桜より団子より君のほっぺた
新人の花見支度はコンビニ100均
米をぬらし春の準備あおは遠く
「まだまだ三寒四温」と袖合わす妻
凍み豆腐の味噌汁しみ入る死別
背を向けて時雨の君が橋を去る
手をつなぎ頬染め見るは冬銀河
下手人を埋めた桜がもう咲く
夢みる時雨に名持たぬ花よ散れ
「見て」幻想のハルを病室にて
桜より団子より君のほっぺた
新人の花見支度はコンビニ100均
米をぬらし春の準備あおは遠く
「まだまだ三寒四温」と袖合わす妻
凍み豆腐の味噌汁しみ入る死別
背を向けて時雨の君が橋を去る
手をつなぎ頬染め見るは冬銀河
ヨロロクリアできずに終わる冬あぁ
其処空けて春が隣に座るから
祖母焼かれ冬ぎれの庭とかしていく
笑い歩く冬野の道ひとりきり
水涸るる公園ひねってもひねっても
春を待つ今期アニメはクソだらけ
みぞれ煮る冬の暮れ風邪ひきながら
寒の雨フードで乗り切る東北人
さむいさむいと帰るなり抱きつくなよ
冬の蝶だと思った君をカゴへ
年惜しむ手からこぼれし五円玉
雑踏に見かけて凍る浮気の芽
はずむこえ室内に咲く恋の薔薇
妹よ誰に手渡す枇杷の花
寒灯を見つつ干す唇を噛み
焼き鳥の棒をカミカミ父の癖
ペーチカ歌えや亡弟旅する星
炭を消す住職眺めて酔いもさめ
炭とりに平成うまれは蜜柑入れ
引きこもり本読みあさる冬の虫
コレはまだアレもまだじゃん十二月
祖母想ふ十一月の散歩道
冬の日はココア練る手に重ねたい
「もしもし」と受けて「しもしも」窓一枚
寒林で吊れる大木さがし逝く
首かしげカブの味付け迷う母
舞い終えて足袋ぬぐ度の指の違和
もう九時よ雪と貴方を起こす朝
ほうぼうを知らずに方方尋きまわる
凍らせた蝶の羽根食む君が笑む
お年玉値上げ約束ハリセンボン
春仕度三寒四温と日脚のび
ネギ入れるタイミングが分からん味噌汁
冬の鳥も私の声も枯れきり
雁の枝を拾い君を弔う
くちびるに霜降る夜はウォッカ飲み
年の内デートした日を指折れば
文士らの討論ききつつ泥鰌鍋
百合がほしくて君を連れだす深夜
氷室の涼けずりて蜜をかけて食む
北窓の冬の標本みおろして
空也忌に銀座のもなか並び食べ
繁忙期クシャミハナミズ気合い止め
枯野往くワタシのやうな花さがし
初氷手に取りはしゃぐ三十路妻
魚屋にわかさぎ売ってる帰り道
根ゼリ鍋箸で争う息子達
春告げる鳥の鳴き初め散歩道
酔ってないよ千鳥のマネだってば
冬の海こころのように荒れ鳴いて
鮫肌におろすは山葵ブリ刺身
木の葉おちきり病は治りきり
枯園と共に枯れるは彼の恋
寒の水もサウナあがりはそれほど
花いちりん凍土の郷里に立ちつくす
「コオリオニ」息子の園では「バナナオニ」
短き日カゲも短しハゲ近し
悪夢見ゆハツと目覚めし冬の夜
追う娘にげる綿虫わらう妻
墓囲ふあの日の涙思いつつ
墓も木も家も囲いて雪待ちぬ
ねんねこや早く寝なけりゃモッコ来る
押され往く羽子板市の朝混みて
街ブラリ値引きの暦ワゴン見つ
あかぎれた手すら愛しくキスをする
サンマの神を送る七輪合掌す
霜月や沖縄に降るは星の砂
マグも君も冷たし何故恋は冷めぬ
をしどりも喧嘩する日はあるだろよ
念願のフグは味ナシ何ぞこれ
ホッカブリは豆絞り伝統だはんで
駄目だコレ土鍋で湯葉は失敗だ
たで食いてなおたでさがす本の虫
さんざしと君の笑顔が花ひらく
すみれとドレミは似てると歌う妻
指で「アホ」黄砂が積もるボンネット
彦星を見上げてうらやむ独り酒
晴れの山きぎす追い追い一仕事
歌遠き校舎見下ろす桜坂
枯草よ我は老いても項垂れぬ
運命の海は凍りて泳げずに
冬の田が見えないほどに雪降りつ
湖氷ればどっかり座して釣る
山深く氷る滝壺連写して
年越せばあいさつ変わりて皆笑顔
ズンチャチャと除夜にあいの手入れる妻
泣きながら子供と鰤が起きる夜
熱燗をちびり舐めつつモツ煮食う
忌み多し芭蕉も一茶も蕪村もか
ゲシュタルトあじさいシカクの宇宙なり