■ 31 ■
はっ
ははっ
っあっはははっ
はは……
は?
はははははははは
あぁ…あはは
はッ!
あははははははははは!!
あーッ
……あ………は…はは
あー、
ははっ、ゆきだ。
はっ
ははっ
っあっはははっ
はは……
は?
はははははははは
あぁ…あはは
はッ!
あははははははははは!!
あーッ
……あ………は…はは
あー、
ははっ、ゆきだ。
パルメザンチーズが
気違いのように降ってくる
粉チーズにまみれて
パンツェッタ色のコートを トマト色のブーツを
放り投げてまみれて
君はなんてパスタのような肌をしているんだ!
あ、 あはは
このチーズは甘いよ
水のように舌で 肌で 唇でとけるよ
浮かばない雪が欲しかった
冷めた料理を
まだ食べずに舞っている
この手を悔いる時間すら夜に与 え ず
(床)
君の淀んだ眼アイ ラ ブ(言う)
夢の入れ子にミル フィー ユ(見る)
重ねられたアイ な ん て ものは
どこにも落ちていない
(滴り落ち)
る
(銀のナイフ)
が
(胸の上に)
ささやかに _
ひざまずく景色ゆらぐ心のとき め き
(夢)
花を散らす血アイ ノー (知ってる)
覚めて抜け出せずイ ノール(聞く)
上質なナイフ な ん て ものは
ここには落ちていない
(かげる時刻)
に
(溜まり続け)
る
(恋していた)
かなわない _
巡り逝く散る落ちるかげるその告 白
(雪)
どうして頷かな い の(訊く)
どうして倒れてい る の(惹く)
窓の外時間 止 ま り 白く世界は閉じてゆく
(ゆらぐ景色)
あ
(落ちるかげる)
い
(涙をなが)
してたのに _
このひとは素晴らしく冷たい。
かたちのよいくちびるから
ハリッ と白が舞う。
その声と、この空気に
僕はいま踊るくらい
雪をかんじて
君にキス
する。
ねぇ、
このひとは ね
「放して、あなた嫌い」
本当に素晴らしくツメタイんだ。
これは戯れだこれは戯れだこれは戯れだこれは戯れだこれは戯れだ
凍ったつららを君の瞳に差し込んだ午前三時のアパルトマン
いつからそんな美しくなったんだい?
理科室の机の影で君が泣いていた
試験管に涙を入れて標本にしたら
さぞかし キレェなんだろうな
曇った窓を透過して朱色の手が
衝動的に
刺し殺すための刃物になったら
さぞかし キレェなんだろうな
理科室の教卓の前で傾けた傷が
雪と一緒にストーヴで融けたら
さぞかし キレェなんだろうな
雪が降っている
僕は君を守るよ
ずっと傍に居る
一生君を守るよ
まぶたに、雪がそっとのった
君がもう動かなくても.
雪がどうかした昼下がりに
あられもない姿で君は泣いている。
またたくまに
極論
を
ユキが同化しましたか?
み
なも
ヰゐ非とと痴れぬ
遅かったもなにも!
雪がどうかしてしまった朝上がりに
ボクハあられもない姿で泣いてゐたのだ。
君は本当は、
雪がキライなんだろう? そうなんだろう?
君は本当は、
ボクのこともキライなんだろう? そうなんだろう?
君は本当は、
踏まれたくてしょうがないんだろう? そうなんだろう?
君は本当は、
こんなところより庭が好きなんだろう? そうなんだろう?
君は本当は、
本当なんて言葉をなにひとつ信じてないんだろう? そうなんだろう?
本当は そうなんだろう?
足元から崩れ落ちた
思想は 珈琲の時刻だった
二分蒸らした
(浅煎りの豆はミルで丁寧に挽き、そのうえ紙のフィルターで蒸らさ
なければならなかった。
**、わたし、酸っぱい豆が好き。しかも、コロンビア産の。)
花のクッションに嫌悪感を抱き
羽化は 順調に進んでいく
二時間焦らした
(それがどの枝によるかということもあるが、細い枝であれば羽化には
ことさら時間がかかった。
**、わたし、蝶より蛾が好き。しかも、羽化が遅いの。)
夢から醒めて 夢の 続き
雪から褪めて 雪の 陰り
Yシャツに糊がかかる
粗熱を 隠し通した朝に
浴槽を汚してしまった
血のあとが 残り続けた朝に
二日間もてあました
(人間の発情期というのは厳密に定まっては居ないとされているが、
機能開放に時間は要らない。
**、わたし、あなたが好き。しかも、死にたがりの。)
そして夢から醒めて 夢の 終わり
雪すら融けて 冬の 終わり