■ 31 ■
サザ あめはやまない
きみと花弁を
ふみつけるように抱きしめる
ハ ザ それはひどすぎて
たとえばキスに 似ていた
二度と花弁がフリシキル
ぜんぶなくすことを
おそれないで
サザ あめはやまない
きみと花弁を
ふみつけるように抱きしめる
ハ ザ それはひどすぎて
たとえばキスに 似ていた
二度と花弁がフリシキル
ぜんぶなくすことを
おそれないで
いつからいつまでが雨なのか本棚は知らない
しずしずと
薄緑色の点病に侵され
次第に弱っていく板の内側さえ
誰にも見せずに
蜘蛛は裏側に
もうどうにでもなってしまえばいい
とでも言いたげな家をつくる
あちこちにのびる糸は
白く
灰と
すこしだけ黒の
埃をかぶって廃墟となる
カーテンは
いちばんしたの
いちばんすみの
折られ
折られ
重ねられたところから
ふつふつと
これも薄灰色の点病に侵され
絹の
目
滲んで十字架が打ち建てられる5年もかけて
地球儀を集めていた
地球に見えれば何だってよかった
この部屋には
地球がいくつもあって
それぞれに緑で 白で 橙で 青かった
点病に侵されていない球体を
からから回して雨を呼ぶ
詰め込まれた文字と大陸が
静かに
どこからどこまでなのかわからないように
静かに
雨を呼んで
糸は
雲作りに失敗したかのように天井にかけられ
静かな
すり硝子と絹のカーテンからもれる
光は
いつからいつまで
雨なのか
本にも
僕にも教えず
雨が降る日に限って
オルゴールは 虹色の音色を奏でる
やわらかく 湿った空気を伝い
耳の奥へと 潤んだ音色が届く
少しだけなら雨を
みなおしてやってもいい
そう思えるような日に限って
傘が壊れる ボクハカサヲササナイ
ざあざあと 僕の事
たたいてる この雨は
遠い国では 嬉しくて
海の上では お帰りなさい
虹が見える でもまだ降ってる
なぜだかさみしい 気分になってる
空面冬倒きす ぎとる
感知する雨か かあさん なぜ奴隷らら歌う
そうよ?
つまり
うた よ?
意思なんてないね
散 らばる空洞 背丈 曲がる猫
飛び出す魚も きす ぎとる冬
叩きますね 布団を 銃声と 間違うように
面白くないのでせめて
什星としてみる 配置 書架から漏れ出した
つぶを
よっつ
その名を 雨 と名付けよう
雨が光る街に 手首を切った少女と立っている、
「あたし まだ生きてる ……?」
「縦に切ろうとしないから そうなる」
ゆびさきから 血が光った、
それは恋しているからに他ならなかった、雨も、
たたまれた和音の鍵を首に下げた少女が
雨雲の裏口を探しにいこうと言った
切れ間からさしこむ乱反射に彩られ
螺旋階段を
踊りながらのぼっていくのをただ
見ている
三回
ノックすればいい
入れてくれますか
入れてくれませんか
入れてくれないと
「 」
ピンクのリボン飾りがついた靴と靴が
検討をつけた裏口の前で
しぶきをあげながら
踊り続けている
いっとき光が鍵に降り和音が響いた灰色のビル群
屋上から
スカートの中身がみえる
明るい光雨を唯受け滲む
廃墟の寺院で踊る歌人よ
にわかに満ちる
対の池の名を
悲鳴とつかぬ
残響にのせて
反響言語(エコラリア)!
反響言語(エコラリア)!
狂気をまとう常識人に
まったく君だけ立ちすくむ
回廊のおもて雨だれ打ちて
伴奏を裂く
錆びの匂いが
脳梁をくすぐり
すがすがしくも笑えば君は
まったく正常な異常人
目に映る
雨がはじく光の花束 まぶしくて
頬を伝っておちる
涙もまた
きらきら
キラキラ
心の色を映しているね まぶしくて
でも
瞳は
そらさないでいて
気付いてほしいから
雨季が
恥ずかしげもなく停滞した後の水門です
(泥の鉄砲です)
つったた つたた たたんつつ つたっら
踊る円形透明の 爪先 爪先
ったっら たっら
さかしくかかった 声です
木造校舎にピシャリとあてて
校庭の草にお辞儀をさせたの誰ですか
つったた つたた
つったた たたん
牛舎の
丘を越えますね