■ 11 ■
みんな
雨を見ているんだね
みんな
雨を見ているんだね
いろんな雨が
降って
いる
もしかしたら
同じ雨なんてないのかも
知れない
ですね
同じ場所でも
みんな
違う
雨を見ているんですね
泣きそうだよ
ひとりで
みんな
雨を見ているんだね
みんな
雨を見ているんだね
いろんな雨が
降って
いる
もしかしたら
同じ雨なんてないのかも
知れない
ですね
同じ場所でも
みんな
違う
雨を見ているんですね
泣きそうだよ
ひとりで
雨が降っていると余計な事を思い出す。
たとえば
小学生だったとき、写真を撮ったこと。
窓辺に
僕は座っていて
窓の外に
傘をさした祖母が立っている。
僕はカメラに向かって
祖母は僕に向かって
視線をなげかけている恐ろしい風景。
雨が降っている。
愛されたくて
でも
証拠は残されたくない。
寒に晒された電柱鳥が
ちろちろ囁く啼きて
夜分の雨は
等しく打つは
無くも許さぬことでせう
信じていた神の言葉が
雨季とともに融けた朝に
親指の神経が
うずいて
やまなかった
過去形に固執した午後
雨に直訴した
狙わないでおくれ
所詮は
金のためさ
細い指に触れた雨の青さ 遠くに揺れる
時折 、
覗き見える廃墟の柱
座る腰に濡れた霧雨の青さ 遠くに揺
もし 、 きみ
必ず眠ると信じて
細い髪しびれる君の雨さ 遠く
深林 、 揺れる
時折 、
覗き見える廃墟の
玉座 、
あなたにナイフを突きつけた午後。悲しくも天井には雨が降っていた。
いいよと言って腹をめくったあなたに、私はどうしようもなく欲情した。
抱いて。
なんでもいいから抱いて。
ナイフを持ったまま抱いて。
傷つけ合うレイテン、レイイチイチイチイチミリメートルの先には、鬱蒼と茂った「恋に似た愛」という嘘と、それを枯れさせるための白いトロトロとしたカルーアミルクのような液体が
どこまでも
どこまでも
染みこんでいった。
裏側に
ピッチカート
ゆるえむ雨
あしは
リズムを軽やかに
定規
それも
正方形の行列
あしたも
降る
戦場に
このたびは
静かな
る
おそらく
直線の葬列
夜の遅くにザバザバザバ って
窓から
出して
手のひらを上にあげただけで
自分から壊れていくんだもん
しかたないじゃない ねえ 雨って
遠くから赤が半音下がって
おふとんにくるまりながら
顔だけ
出して
急に温度が秋になっていくの
空気が壊れていくみたい
一人の
部屋で
おふとんにくるまりながら
世界が流されてしまえばもう
あいつらと会わなくてすむかな って
明け方
サワサワサワ って
窓から
出すと
かみさまの睫毛みたいに撫でていくの
泣きそうになるじゃない
やさしすぎて
壊れていくみたい
彼は六時前に起きた。
カーテンの無い、はめ殺し窓の外では
霧雨が鉄塔を鈍く染め上げている。
ベッド横のテーブル。その上の、旧世界に繋がる黒電話が鳴った。
地下二階で寝ている妹からの
モーニングコールに違いないと彼は確信している。
彼の部屋は小さく、三畳ほどしかなかった。
その中にベッドとテーブルが置かれ、
テーブルの向こうの空間は床ごと切り取られていた。
ふちから少し顔を出した
下へ降りる梯子の手すりを、彼は心底嫌っている。
鉄塔は相変わらず濡れそぼり、ぼんやり見ているうちに光が四回またたいた。
妹からの神託に違いなかったが、
彼は指を耳穴の限界まで入れこみ、五秒ほど大声を出し続けた。
妹を心底嫌っているためである。
すなわち、
地下には降りないし電話にも出ない。
雷の音など聞こえなかったし雨がやまないのは自分のせいじゃない。
彼はまた、六時に眠る。
境界線を潰して。
ラップトップのザザ波にゆられ
電子の海で おぼれている
最近見た夢のだんぺん
昨日食べたはんぺん
机の上のアカペン
窓はリッペン
ある日 (六片×2) **がつだった
あの息は最初から最後まで聞こえない
周波数が違うらしいと言っていた
ごろごろしつくしてからの停止
見せられたリング状の物ども
洗面器に散りばめられた水
あは 何でもないよ?
ダイジョーブだよ?
うんホントーに
本当に本当に
急なカーブをえがいて
消えるように 雨がいい