■ 11 ■


 君がナスカに行く日には
 空は パリパリに晴れていて
 舌を出しながら笑ってる
 犬を ケンゲンに刺し殺す

 パリパリした血がコンクリートに流れ
 一人で旅をするのなら
 何かしらの罪を背負っていかねばと
 強迫のように言っていたね

 さんざんの明日
 ナスカは晴れる
 君は パリパリの犬を抱き
 地上に描かれた鳥を見る

■ 12 ■


 影が落ちてくる 飴が融けてく
 トゥルリと喉につっかえてムセてる
 殻が降ってくる 塩に溶けてく
 本は本のまま イイの?

 庭にすえたパイプ か ら
 電池の色と
 ぐるぐる巻くと
 塩に溶けた生色  だった 、

 雨が落ちてくる 髪が梳けてく
 ソファリと肩につっかえて重力
 酸が降ってくる 殻が透けてく
 壜は移さなくて イイの?

 大好きな事は なにもできない
 大好きだからでき ない

 無理やり脳に手を入れてみてよ
 溶けた塩がトゥルリ と ね
 無理やり殻を覗き込んでみてよ
 酸が眼球に入る よ

 無理やり髪を巻いて巻いて巻いて
 ソファリと手を置かれ た ら
 影が落ちてきた
 あれは星ですか
 壜は移さなくて イイの?

 大好きな事は ねえイイの?

 塩で死なせてもねえイイの?


 縦に切らなくても イイの?

■ 13 ■


 No game ...    No games ...

 叫びつかれて  e/e...
  手錠から垂れている細い手首
  綺麗だと囁いて舐め濡らして
             あげる u/u...
 いくつもの切り傷は膿み
  a/a... ノイズ雑じりの二重の声で
 ふるえる唇に液体を
         僕が なおして あげる

 No game ...    No game/s ...
 No game ...    No game/s ...

       No game

 ..a .a/a ..a .a/a ..u .a /a
 No game ...    No game/s ...


   月のような素足が
   投げ出されるシーツ
   汚れた雨 波紋のシワ  うるんでいる
   きみの全てになりたくて
   月のうえで僕は
   蠢くよる カーテンを引き  遊んでいる


  思考をとめた
  うすくひらく 目が  e/e...

    剥がれ落ちていく     枯れた髪の毛 すくって なぞる

   きみの全てになりたくて
   月のうえで僕は
   ひらく素肌 この部屋は  これからもずっと夜


 No game ...    No game/s ...
 No game ...    No game/s ...


       No game

■ 14 ■


 KKK 切り刻む
 TTT 縦に裂く

 君の足抱かれてた、ひざまづき濡れていた、
 また
 明日の腕切られてた、座り込み泣いていた、

   ――TaKe’n GABBA!  a!

 君の腹に触れていた、君の指にからめてた、
 また明日から切られてて、縦に低く切られてて、

 老婆はそら叫びだす、顎外して叫びだす、
 また赤子は喚きだす、殺してよと喚きだす、

 君の首と
 唇と
 上向いた

   ――TK eye’s!  a!

 KKK今抱いていて、コンクリートの血の海で、
 さTTTから始まりで、死んでいたは過去系で、

 老婆はそら喚きだす、顎外して喚きだす、
 また赤子は叫びだす、殺してよと叫びだす、

 ! a――――――――・・・・→→→ →

 ……が、そう言ったんです、だからついカッとなって、それは倉庫にありました、職業が職業ですから、スグ使えるようにいつも準備していました、それで、エンジンをかけて、普段家の中に持ち込むようなモノじゃないので、大きな音がしますので、母が娘を抱いて走ってきて、えぇ、抵抗なんて、縦に切っておしましでした、曲がって、くずれて、血が、!、でも本当は切りたくなかったんです、縦に、切りたくはなかったんです、

 KKK

  切り刻む

 TTT 縦に裂く

 君の胸に抱かれてて、投げだしたいチェンソーで、
 裂けた中を取り出して、食べだしたい幻想で、

 コンクリートは血の海で、殺してよと叫びだす、
 骨を潰す感触が、またあしたも残るから、     ――a!

■ 15 ■


 ふら
 ふら
 夏に酔えば
 愛してくれるだろうか
 そこ
 かし
 こに落ちている
 銀の叫びごえ拾う

 さく
 ざく
 縦に切れば
 薄くて冷えるだろうか
 まだ
 そう
 いう死期はない
 金は左手をにぎる

 ゆら
 ゆら
 腐りかける
 あの子はプラスチックで
 そこ
 かし
 こに落ちている
 スカ
 アト
 血の痕みたいだね

■ 16 ■


 翼を返せ むしられるのは結構痛いんだ
 心も返せ あいされるのは結構痛いんだ

 なんとなく
 だれでもいいから
 愛したいのはわかった

 セロハンテープで ぐちゃぐちゃに縛られた手首を 指を
 爪を切る
 散った半月を小瓶に詰めて

 パチン
 ‐‐‐‐‐‐‐‐ココカラ タニオリ‐‐‐‐‐‐‐‐
 パチン

 夜が沈み 揺れながら笑い
 羽は散る
 ジャックナイフで 魚になった足首を 親指だけ折る

 人を選んで選ばれることはない
 なんとなく
 翼をかえしても
 愛し返してくれないのはわかった

 月をあげる 光ってもうどうしようもないし
 息をあげる 溺れてしまえばいいのになあ

■ 17 ■


 東に向いてる地下室
 からめて 踊る
 眼球の色
 慈しみとは偽物の
 同情 優越 隠す
 闇模様

 縦に切り刻んで 懇願して

「好きなナイフをさあ選んで
 違う世界をまだ夢見てる の?
 平行線だよ交わる事ない」


 縦に切り刻んで 救いも嘘


 西に向いてる投影室
 黒紙の フィルム
 残してる
 優しさなどとは言うほど
 友情 掌 上辺の
 恋模様

 縦に切り刻んで 委ねた傷

「好きなヤり方さあ選んで
 解りあえるとまさか信じて る?
 平行線だよ交わる事ない」


 踊る

 隠す

 上辺の

 本音の


「どのみち跪くのは君のほう」

 縦に切り刻んで 懇願して

「好きなナイフをさあ選んで
 解りあえると今も信じて る?
 平行線だよ交わる事ない」

 縦に切り刻んで 解った嘘


 縦の流れた
 縦の傷を 君の道に倒そう

■ 18 ■


 あの時届いた この
 カナタからの手紙をヨコに切り裂いてしまった事を
 いまでも悔やんでいるけれど これ一つ覚えておいて
 情動と呼んでいい
 いつしか古びた夢 で
 棺桶に入っていたのは ひだりの手首だけ赤い
 幼い彼と彼女とミンナが大切にしてた
 首のない人形


 た だ 泣いていることを好しとしないのは
 全部 大人になった人間の言い訳

 も う 立ち上がることができないフリすら
 全部 大人になった人間の戯れ言

 あ す 鯨と一緒に深海へ潜る
 全部 大人になれない人間のぜつぼ

 う そだけしたためて 歩いた小道の葉っぱをまた
 郵便ポストに入れ未来へ届きますように これ一つ忘れていて
 確信犯でした


 あの時も あの時も
 この時も この時も
 わかってる わかってる
 すきだよね
 すきだらけ

 大人になって初めて開いた無邪気に笑う黒い子供それが むかし の

 手紙の中に入ってた物は 無邪気に笑う肌の白い 首から うえ

 その示指ブルブル震わせ て 浮かんだどこにもない振動
 生まれて初めて投げつけ た 赤いインク染みる
 逃げ場を 全て失くす事 を 成長と呼んだ大人の血のように


 いつしか褪せた本が 戸棚のうえにある
 幼い彼と彼女が親に撮られた写真
 そこに人形はなくて夢かと間違える

 あの時届いた この
 カナタからの手紙をタテに切り裂けなかった自分を
 いまでも悔やんでいるけれど これ一つ覚えておいて
 号泣と呼んでもいい

■ 19 ■


 夜を照らす街灯の海 奥は何も見えなくなって
 ぼくの手はもう冷たくって
 楔を打ち込まれたように 思い出が邪魔をしている
 なにもかも許して沈んだ

 幸福があんな事と知らないで生きていけば
 どれほどか 沈みながらぼんやりと願っていた

  Del in my memory…

 白紙の上に傷を落とすと ガラスは割れて砕けるよね
 きみの歯がそっと笑ってくれた
 ひざの上に場所を見つけた 手の細さも温かくって
 音もたてずにぼくは泣いてた

 どれほどの光でも知らないで生きていけば
 暗闇も 怖くない恐れるものも何もない

 孤独がただひとつこわいものになっていった

 あぁ 大事なこと忘れたくて
 ぼくは生きているよ ここに

 あぁ 海のなかは濁っていて
 ぼくは沈んでく ゆっくり

 あどけない魚の群れ 歩いてゆく人間の群れ
 愛しくて幸福でひとしずくだけ哀しくって
 浮かび上がる幻想だけ 心の中で思っていれば
 沈んでゆく どうしようもない現実に沈んで

  Del in my memory…

  Del in my memory…

  Del in my _

■ 20 ■


 君は孤独を隠した。
 そして世界は進んでゆく。

 居場所?
 どこにもないよ。
 縦に切ろうとしないから。