■ 又、双人ハ ■
■ 41 ■
君がひとつめの扉を開けたときに僕は言った
もう戻れないなんて嘘だと証明してくれ
・
君は僕にキスを投げた弧を描いて池に落ちた
もう拾う力さえなく泣き崩れる彼岸に
・
君がふたつめの扉を開けたときに僕は言った
いつか必ず会えると信じさせて死なせてと
・
君はいい笑顔を向けた僕は無理矢理手を振った
本当は理解したはずの足掻きに似ていた恋
■ 42 ■
投げ出す足と 場違いなニュース
そんなに言うと 剥がれるよルージュ
泣きそう……君が消えそうな気がして
まただ 足りないよ
君を抱きしめて ささやく言葉も
消えないでいてね
ずっと もっと ぎゅっと
していいかい?
確かな感覚 君が居ることを
胸に伝えて 僕と居ることを
君を抱きしめて ささやく言葉も
消えないでいてね
■ 43 ■
■ 44 ■
LoVe&PeaCe−LoVe
ラブ・アンド・ピース
君が最期に言ったこの単語を俺は一生忘れない
血を吐きながら笑った顔を、俺は一生忘れない
涙の乾いた悲しさも
土で黒く染め上げた手も
ぬけきった青い空も忘れることはない
忘れない
忘れない
―過去
LoVe&PeaCe−&
ラブ・アンド・ピース
昨日この単語を忘れなかったか?
明日この単語を覚えていれるか?
―未来
LoVe&PeaCe−PeaCe
ラブ・アンド・ピース
君が最期に言ったこの単語を俺は一生覚えている
血を吐きながら笑った顔を、俺は一生覚えている
■ 45 ■
指が同じ白をたたく
これはすべて上書きのピアノ
指が違う黒をねらう
それもすべて上書きのピアノ
指が君の紅をなぞる
あれはすべて下書きのノート
指が髪の影をすくう
どれもすべて下書きのノート
君の声が青をよんで
これはすべて上書きのベッド
僕の息が水をふくむ
それもすべて上書きのベッド
君の足が肌をよせて
あれはすべて下書きのカット
僕の首が光をひいて
どれもすべて下書きのカット
朝がまた来てピアノの音に
耳をすませば君は鍵盤の
埃をとって
消さないで
上書きはやめよう?
不思議がお
可愛い
スキ
君が僕の頬にキスして
どれもすべて ひとつだけのコール
■ 46
■ 47 ■
■ 48 ■
■ 49 ■
昨夜、雷が鳴っていた。
すると恋人は、
「私は雷に打たれるとスーパー恋人になるよ」
と言う。
じゃあ、スーパーは何がスーパーなの、
と訊くと
「あなたをとっても愛でるわ」
と言った。
・
「僕は雷に打たれると、スーパー南さんになるよ」
と言ってみた。
じゃあ、スーパーは何がスーパーなの、
と恋人が訊くので
「そうだな……鬱にならないで一日中プラス思考になる」
と言ったら、
それはとんでもなくスーパーね!
とワクワクされた。
■ 50 ■
こんなことして
許されるはずもないのに
十字架に祈って
許してほしいと言ってしまう
神様は慈悲深くて
まわりの人間なんて
怒ってばかりなのに
光あふれる教会に独りでいると
なんだか
とても
落ち着く
でもやっぱり
逃げてばかりじゃいられない
今ごろ
神父さまが
電話で警察に連絡しているだろうし
さっきから
天井に響くヘリコプターの騒音は
TV局のものだろうし
あーあ
終わり
こんなことした今でも
本当に貴方が好きなのに
好きなのに
自分から会えなくしちゃうなんて
どうかしてた
神様は慈悲深いけれど
きっと
死刑のあとには地獄行き
貴方は
きっと
今ごろ天国の門の前で
やっぱり
怒ってるんだろうな
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