■ 又、双人ハ ■


■ 31 ■

 首筋に淡く朱を落とすとき
  あなたの唇は塩でできてる

 叶わないチッタ・クロックローズに この指の爪をさしあげましょうか

 ベランダに薄く黒を映すとき
  あなたの瞳は哀でうずまいて

 過ぎ去ったベッドサイドのあかりで 微笑んだ薔薇の蕾をひらいて

  このままこうして恋は買われてく

 シャラルとはじかれた ピアスの金も
 腕に刻まれれた 魔法の呪文も
 髪の毛をつかむ シーツの谷間で

  かたくなに壊れた 逢いを 想う 調べ

 夜のガラス靴はどこへ仕舞うの
 鍵とトビラ誘う城への階段

  ――君はもしや 屋根裏の少女だろう?


 雫の 呼び声はじらう
  顔かくさなくても知っているよ
 いつか この靴を片方だけ
  かえせる日がやって来ることを

  ねがっているよ だから
  今夜の鐘の音は
  白い月の秘密さ

 その足首に 踊るキスを降らせ 胸はふるえている ずうと見つめる仕草に


   森の 魔女の コエ


 首筋に強く赤をなすりつけ
  あなたの手首をふさいだ衝動

 叶わないチッタ・クロックローズよ 魔法が解けてもボクは愛せるさ

 風音が高く罪をつぐなえと
  あなたの頬を指して批難をする

 立ち去ったベッドサイドのあかりで 溶けこんだ鏡のキズを探して

  このままこうして恋は奪われる
  そのままそうして涙は枯れてく

  叫び 叫ぶ 王の子よ

 このガラスの靴だけが 彼女を見つける
 たったひとつの しるべになろうぞ

 ひどく恋い焦がれて
 塩水を飲み干したい

  そうだ
 あなた
  その唇に

 ボクは飢え 渇く


 光るナイフの 星は冷めてく シンデレラを さぁ さがしにゆこうか


■ 32 ■

 波がゆれていた。

 ぼくの目がみつけた。

 ゆっくりと沈んでいくんだ、彼女が、その手をうやうやしく掲げた午後、笑っていたということにぼくはやっと気付いたばかりだったのに。

 ぼくが揺れていた。

 なみの月をみつけた。

 抱きしめられたと気付いた時に、なにをつぶやいていたか、どうして、自分の声がきこえない……。


■ 33 ■

 蒼い 月夜から 貴方だけ求めているの
 キスで抱きしめて あの雲のカナタヘ…

 確かにこの手に 感じた温もり
 離れても 感覚が残っているよ
 その瞳に 秘めたものがあるから

 涙は見せないよう 笑っていた
 いつか貴方が この 雫すくって
 空に 放つまで

 高い 夜空から 貴方だけ見つめているの
 寂しいときには スグに飛んでゆくから…

 振り向く貴方の強い意志を壊さないように
 強くなるからね 指に誓って…


■ 34 ■

 あたしあしたあなたとしたい

 不思議な心を共有したい

 あたしとあなたはあしたのしたい

 来世は一緒にバカンスね


■ 35 ■

 あの人から封書でKissをいただいた春
 薄唇の花弁はらり落ちた喫茶店
 こうしちゃいられないわ冷めたモカを置き去りに
 ah...お代はこれでいいかしら

 どこかしこも赤い提灯ビアガーデン
 ヒール
 鳴らして みても
 ネオンと おどる
 あなたは いない

 口解けのダルい砂糖菓子のように
 風散る桜にデコレーションして
 ah...知らぬ間に河は七色を
 映していく
 今宵の私の恋ね .La La.


 晴れやかに澄みわたり水撒き汗したって ah...
 あの人から葉書が届いた夏
 ひと目だけでも小さなささやきだけでも
 望み想うことを許してよ

 コンクリートのビルの隙間ぬうように
 ヒール
 鳴らして みても
 わらって 梳かす
 あなたは いない

 わたしは みらい
 みえない ヒトリ

 口解けのダルい砂糖菓子のように
 溶け散る恋情を笑い飛ばしah...
 知らぬ間に頬を伝っていくのは
 なぜだか
 甘くはない思い出
 知らぬ間にくずれ去っていくの
 ah...
 本当は
 知っているのに .La La.


■ 36 ■

 ふっくらしていて甘いもの
 ぷかぷか浮かんで雲のうえ

 たっぷり 息を吸いこんで

  ねえ!

  大好き!

 って 言ってみる

 ふるふる動いておさえられない
 ぶわっとあふれる この気持ち

 きみは
 笑顔で

 世界でいちばん甘い笑顔で
 なんて返してくれるのかな


■ 37 ■

 僕が寝ている間に 君は泣く

 ゆるりと
 念仏を垂れ流しながら


 夢で 神は死んだ


 めがさめるころにだけ
 君はそこから去る


■ 38 ■



■ 39 ■

 二人で幸せ続いても

 一抜けされると辛いから

 できれば
 私より後に死んでほしい


■ 40 ■

 3番は  作ってラップしておいた料理を 食べてくれなかったこと

 2番は
 帰ってきたときに 抱きしめてキスをしてくれなかったこと

 1番は


 1番残念だったのは

 ほかに好きな人ができた って
 別れてくれ って

 土下座して頼まれたこと


 ううん
 本当に残念だったのは

 浮気してたんだって思った瞬間
 いつも心を温めてくれた あなたへの愛情がス―っと

 消えていったことだったよ


 暗い部屋でひとり
 泣けなくなってしまったことだよ



--Presentation by ko-ka--