■ mai zd uru utu si zd uka ■


■ 71 ■ 命日前 ■

 おはよう。


 おはよう、おはよう。

 残念なことに、今日も生きていたね。


 僕が、彼の名前を呼ぶとき胸が苦しくなるのは嘘をついているからだと思いたいよ。
 東京にはつきものの、鈍い、建物さ。
 焼身自殺をした、家の裏の、男性は、躁病だったと信じたいよ。
 彼はきっと、詩の世界でも笑いたがったのさ。

 何時間も酒を飲み続けたのは、発注ミスだと信じたいよ。
 ティラミスと同じ原理で、世の中の女性に酸素ボンベを贈りたい。
 きっとまばゆい目の裏は、母さんの中だと言い張りたいよ。
 目をぐりぐりと、どこまでもグリグリとすると予知夢をみるんだ、嘘じゃないよ。

 だからおはよう、残念なことに、今日もどこかで、彼は生きているんだね。

 どこかって、僕の、頭の中さ。


■ 72 ■

 ざっくばらんな 君を探して
 走る大地のクエスト
 こんなボクでも 資格を持ってる
 魔王たおして お金をもらうよ

 その名も「勇者」

 すごくキケンな 旅をして
 泉のほとり 君をみた
 魔王たおせるワケがない
 資格はあるけど できないよ

 君をたおせるワケがない
 だから未だに貧乏さ

 請け負う仕事はひとつだけ
 ざっくばらんな 君を探して
 走る大地のクエスト


■ 73 ■

 ドロドロすぎてもはや味噌も溶けぬというのか
 乳白色の飽和水、焦げた鍋底に沈殿する具材!

 味噌を拒絶するデンッップンッ!!


■ 74 ■

 あたまをなでて
 ゆっくりなでて

 やさしい瞳で

 きょうのまちがいを

 ゆるしてあげて
 すこしわらって

 コップのふちを

 きもちかたむけて

 おみずをすてて
 ゆっくりすてて

 やさしい瞳で

 あすのつぐないを


■ 75 ■

 リシリシったバスタブには 水をくまなく張ってやる
 そなえもせずに 指につけ
 ヒリシリ熱いと 君は言う

 リラリラするそのうたごえには 快感のような雨
 いつも傷ついて 窓辺に映る
 そうと微笑んで 何もかも
 君は手放して 冷たいと言う

 星の匂いに立ちすくむ夜
 風よりも早く雲を追いかけていく
 炎よりも高く

 ハカナク舞い上がれ この空よりも
 キラヒラ澄んだ 輝く白い肌
 淡い瞳
 細い指
 軽い翼

 ホウソウ静かにふるえる 息でくもったガラスに
 あのときも
 このときも 間違った選択をした 知っていたのに
 こうして生きていること
 幸せすぎて
 ヒリシリ熱いと 君は言う


■ 76 ■

 レトルトカレーのパッケージを開けたら、食パンが入ってたんですよ。
 しかも、ご丁寧に焼いてあるんです。

 黄金色のファルファッレを両手に山ほど積んで、銀の鍋に飛ばしてみませんか。
 沸きたつお湯。

 マビンカには、知能を持った伝説の鳥が棲息していると聞きます。
 フイトル(号笛)という、名前だそうです。

 おもちゃの銀杏を山ほど積んで、トランプゲームをしてみませんか。
 ロウソクは白。

 嘘を言っても仕方がないので本当の数を当ててみせます。

 7、ですよね。


■ 77 ■

 シンデレラの死骸を丁寧に埋めてから
 フラクタルの素面を叩き割った
 世界は五面になった
 *
 肋骨が一番美しい
 気持ちが大きくなると
 自制心をたもつために僕はいつも肋骨をつかむ


■ 78 ■

 手首に赤いセン引いて夢ごこちのビーナス
 手紙には情熱の解決散らされた赤い薔薇は

 もう もう 双子の笑い声 響いた3××号室


■ 79 ■

 ハルカイザ「自己意識はマンモスと対決する」
 メメンドゴリ「またか」

 ラシァ「言わせてやれ」

 ハルカイザ「人間は天動説でも十分に満足できたのに、だ!」
 メメンドゴリ「あいつは蜘蛛だ」
 ラシァ「かけているだろう、葦の長さは思考には関係無い」

 メメンドゴリ「境界は皮膚じゃあない、」
 ラシァ「そうか?」

 ハルカイザ「私の皮膚を侵すものは、風邪と恋しかないがね」
 ラシァ「そうか?」

 メメンドゴリ「境界がゼロになるということ」
 メメンドゴリ「すなわちマンモスの剥製と」
 ハルカイザ「怖れていたのは、蜘蛛の」

 ラシァ「ごらん、ゆれる水源は、すべからく美しい」


■ 80 ■

 ひとつめのハニーはマスタードと一緒
 みっつめのハニーは彼女のおくち
 まんなかのハニーはハニーじゃない
 パニーニ



--Presentation by ko-ka--