■ mai zd uru utu si zd uka ■
■ 41 ■
ありとあらゆるケビンへ
釣鐘を飛ばそう
さっと
高い
音を
たてて
チョコレイトの包み紙は
新聞紙が良い
わりと
苦い
塩を
ふって
まどろむような
ケビン、昼を寝ようか
ありとあらゆる洗面台の奥で
僕らは 薄くかげろうか
■ 42 ■
アラおおかみさん
ワタシを食べるのね
赤ちゃんは 頭から出るわ
それでいて 泣くの
アラおおかみさん
どうして叫ぶのかしら
だれも
ワタシを不幸だなんて
呼ばせはしないわ 好きだもの
■ 43 ■
銀花羅節後の 八日の夜中
午前二時半マワッタ庭は
終端速度
丑蜜草と しぼんだコスモス
純真の心お仕舞い伏せて
なぜ死なないの
アールのニジョウ
「Si―i」「Si―i」
柵の向こうの草原に
波音のように打ちつける
金糸の万有引力は
満月色した乙女の涙
「Si―i」「Si―i」
墜落している
■ 44 ■
「あれは水中のワカメ」より 序曲 3−1
「焼きそばにワカメスープがついているのは
どうやら東日本だけらしい」
(フルシンヌ伯爵)
おお
いかにも今
味の爆発は来たれり
十年来
このパンドラの箱には悩まされてきたものだ!
停滞を退化と知り
幾度も繰り返されるダバァの呪
(ピラゴラッセ夫人)
この時を待っていたのよ!
ああ
これだけは変わらぬ銀の
(伯爵)
おお
銀の!
(夫人)
ワカメスーーーーープーーー(ビブラート)ーーー!
(伯爵)
さあ
この袋の中身をマグカップに注ぐのだ
かやくは紙のパッケージを線までめくり
乾ききった砂漠のナイル川のようなこの乾麺の下に!
お湯を注ぎ
(小間使い)
くぼみまで注ぎ!
(伯爵)
液体ソースとお好みのふりかけは
戻した紙の上に置きたまえ
今
置きたまえ!
(夫人)
置くわ
ああ
今置くわ!
なんて待ち遠しいお昼なのかしら
コルセットの下はぺっこぺこよ!
(小間使い)
ぼくは伯爵に命じられた
時計の秒針
ストップウォッチ
砂時計
三種の神器で計測することを
(伯爵&夫人)
三分間
踊るワルツ
足をそろえ
息をそろえ
我々が
待ち望む
香ばしい
麺の香り
少しだけ
水気のある
マグカップの
底に散る
小宇宙
それはワカメ
焼きそばの
付属スープ
(夫人)
ああっ
時間がきたわ
早く
早く
(伯爵)
湯切り口をはがしてマグカップへと注ぐとき
お湯を全部注ぐわけではないのだ
その日飲みたい濃さ
飲みたい量を自らの意志で決定し
注ぐのであーッる(巻き舌)
(伯爵&夫人)
まぜる温かいソ〜ス〜
ほぐす柔らかい〜め〜ん〜
しんなり添えられるかやく〜
お好みのふりか〜け〜を
なによりも嬉しいの〜は〜
このやみつきに〜な〜る〜
箸でかきまぜた〜な〜ら〜
それは
それは〜〜〜〜(ビブラート)〜〜!
(小間使い)
それは!
(全員)
ワカメーーーーーースーーーープーーーーー!!
※この後、伯爵と夫人が黙々と焼きそばBAGOOON!!を食べて
暗転
※序曲3−2は
「ワカメのかきたまみそ汁を作ると必ずでかい白身ができるのはなぜ」
■ 45 ■
いやそれがですね、子供を産んだあとどうにも骨盤の戻りがよろしくなくてですね、しかももう三ヶ月でしょう? 7キロですよ、7キロ。
もう抱くと腰がいたくっていたくって。
「そうなんですか、それより、わたくしどもの宗教に入りませんか、きっと幸せになりますよ」
いやそれがですね、もう腰がいたくっていたくって、病院に行ったんですよ。そうしたらおいしゃさまが、母乳の関係で腰にシップ貼れないなぁーんて言うんですよ。血液に影響がどうのこうの……おかしい話じゃございませんこと?
「そうなんですか、それより、このパンフレットをですね」
いやそれがですね、影響ないシップもあるらしいんですのよこれが。
それでですね、腰つうなんて言うと年よりくさいじゃございませんの。
なんとか別な言い方をしたいとおもっているところで。
「そうなんですか、それよりこちら見て下さい。空飛ぶきつねうどんモンスター教というんですけどね、唯一神とはまた一風変わった感じで」
あらそれいただきだわ。
今度から腰つうのことを、空飛ぶきつねうどんと言うことにしましょ。
「あ、それはご入会ということで?」
いやそれがですね、空飛ぶきつねうどんが、イタくってイタくって。
別な意味ですのよ。
■ 46 ■
私は砂糖が欲しい
溶けてしまうような砂糖がほしい
蔑まれて泣いてしまうような砂糖がほしい
四角く尖った砂糖が欲しい
ザリ
打つような砂糖が欲しい
今夜
海の上で レスポンスした
偽者の皮をかぶった砂糖が欲しい
甘い甘い 砂糖が欲しい
■ 47 ■
疲れたから嘘をつきます
世界に興味がないのはわざとです
嘘をついたのは金魚であって僕ではありません
空に浮かび上がって窒息死したのは 望みでした
金魚の 僕の 疲れたから嘘をつきます
てのひらには
寒天に包まれたアンモナイトが
苦しそうに世界に興味を失っている
■ 48 ■
「...嘘つき」
閉ざされた世界の中で
旅立った方角に向かって舞い落ちる花びら
Rainy sky...
■ 49 5回以上繰り返すお題 ■
1 二重とびなんてできないよ
2 焼く餅をひっくり返しすぎ
3 緊張のあまり高速まばたき
4 もしもし?もしもしもし?
5 コレお母さんのオルゴール
■ 50 帽子をもらった ■
ありがとうございます
ぼくはもう既に風邪をひきました
不養生な目にあざやかすぎて
なみだがでるので隠します
深く
かぶります
オペラをどうぞ
皿の上に鎮座する
オルガンのようなケーキをどうぞ
はじには白い ソファのような
生クリームを落とします
どうぞ座って
食べてください
|