■ mai zd uru utu si zd uka ■
■ 261 ■
アストンテ、
アストンテ、
ほうらそこまで 走っておいで
畑のみちの 水たまりまで
夕立ちに
ふり返れば
ぶうんとうなって 車がとおる
アストンテ、
アストンテ、
ほうらここまで 走っておいで
四角い石の こし掛けまで
おとついのこと
ふり返れば
おういと叫んで たまさかとおる
アストンテ、
の
たましいが
アストンテ、
の
去年の
アストンテ、
いってしまうの
今年は
まだ
盆
の
ねえ、
アストンテ、待って!
夕立に
くすぶる送り火
ふり返れば
うわんと叫んで 声だけきえる
アストンテ、
おとついの命日も今日も泣かせるつもりなの
■ 262 ■
目隠しをしたら 霊感が
手に取るように こぼれていって
しおれたハナは 戻ることがなかった
キスしたときに むせかえる
目隠しをしたら 嗅覚が
つきさすように はしから洩れた
手折ったハナは 戻ることがなかった
あなたはわたしで 崩壊をくりかえし
あなたはわらしで 構築をくりかえし
沈めてしまった 戻ることがなかった
やさしくなぞり 眠りなさい
目隠しをしたら 忘れなさい
わたしは手折り 戻ることがなかった
■ 263 ■
おととい裂いて、今日も難解。
で、とにかくもう一度考えようかな。
新聞紙を縦に裂くの、どうしてこう楽しいのかな。
■ 264 ■
一万円を焼いた代金にいたしました
憧れるのさえ罪だというなら
領収証の拇印なぞ押すわけもないのです
■ 265 ■
青いまぶたを閉じた
赤いくちびるが動く
恋を蹴落としたきみに
熟女という二文字を与えたい
次に触れる場所を
知っている手首が
導いた先の
こえの
夜の
レ・セ・セレ
赤いくちびるが動く
枯れた愛を囲うきみに
少女という二文字を与えたい
■ 266 ■
君が砂糖を入れるから、夜の手触りも甘く、鼻をくすぐる指先にはスワロフスキーのきらめきが近く、泣きそうになるのをおどけて、変な笑顔になって、君が愛をぬりたくるから、夜の手触りも最初はつめたくて、肌があつくなって、痺れるように幸せが、そこらのライトを横切り、新鮮な、パリッとしたシーツが、なにもかもをなくしてぐったりして、君がそんなことを言うから、どこまでも夜で、君がこんな、まだ星も眠くならずに、光っているというのに恋は、
■ 267 ■
どうして知らなかったの。
竹を舐め
音を聞いた夜。
美しい女の隙間にうずくまった壜は
檸檬の香りを無理やりおしつけられた。
あの青は
蓮華の泥沼に空が写ったものだった。
あからさまに意識し始めた
鉄の黒い玉。
玉座がころがっている。
さっと茹で上げた胎児の口角は
1000ナノメートルにも満たない
飽和水素の奥で
満たされている。
あけすけな態度に辟易する
夏のオレンジに
唇をむすぶ。
あのメソッドは
まごうことなき王様の絵で
亡き女王の髪で
持ち上げている。
浮き草は
訪れた静寂の氷原でゆれている。
窮屈そう。
あぁ!
なんということだろう。
淡々と言ってのける回路。おなざりだ。
船は進み
風とともに飛べない。
■ 268 ■
拾い 息の根たちあてがわず 逆も 止めていたものは 人
あの世この世とも知ぬ
あわてずに さわがずに ころしつつ
行燈吹き消す夜の露の怖ろしさ
つるべが落ち 皿も落ち
彼の岸此の岸と声 あの世この世とも
わけもわからずに死ぬ
数えては 数えては 数えては
うらめうらめしや濡れた怪談の際
拾い 息の根たちあてがわず 止めていたものは
■ 269 ■
360度視界を回転させることができるとイう清楚な面持ちのワンピースの少女と、森の奥にある黒いバーで夜のひとときを過ごす。可憐なわりにキテレツだねミス、よかったら披露してくれないか。少女はパックリ切れた自分の首から上を持ち上げ、ぐるりと回転させ微笑んだ。私は約束通り銀の十字架を撃つ。
■ 270 ■
斜めなら 縦じゃない
めェェぇん!
あがらない
赤旗があがらない
落ち着け
ここは鉄格子で拘束されているわたしは
拘束されていない息遣いは一瞬
カン
カッカ°キ ッパン
弾かれる
「はあ、」
「はあ、」
わざと大文字で言いゆかをスる
ここは鉄格子の内側で拘束を切る
に
は
停止
ダン!
どおおおぉぉぉォ!!
白旗があがった
「コテあり!」
「マイ、どんまい。面、決まればよかったのに
あの主審クソだわ」
違うの
縦に
切りたくなかった鉄格子を脱いでわたしは握手をする
世界に 汗がにじんでいる
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