■ mai zd uru utu si zd uka ■


■ 251 ■

 言ってパラード
 君はおそらく殺す

 同等の罰というものは火星上には存在せず
 25時間後の今日
 くるみを割る

 花嫁が泣きじゃくって
 飛行場の草むらでは
 10セント落ちていたというのに

 君が見ないからあれらは存在せずに住む

 言ってやってパラード
 君はおそらくもなにも

 見ないで殺す

 花束は歌って
 公園の砂場には
 スコップが秘密裏に濡れているというのに

 左手首が消えた
 そろそろ殺される


■ 252 ■

(狂い咲く満月の恍惚とした光が注いだ、あぁ、数年前と同じ罪を犯す。ワタシを操るのはサンタクロースの糸)

 深い緋色の海で、
 光探し歩いてた。幼い密室は小さなまぶただけ閉じて。
 外から声がする、
 僕は汚くこなれた古く太い糸に、心引かれる。

 彼は苦しそうな、
 でも嬉しそうな顔して「あと何分ですか」と両手あわせ神に願う。
 彼女の腕をとり、
 生きてることをただ願う。虚ろな彼女の眼、互いに見つめあう。

 歪んだ朝焼けが、
 この部屋を変えてく。彼女はちぎれそうに、痛いと叫ぶ。
 悲鳴は続いてる、
 最後の夜だから。太陽は昇りきってサンタクロース帰っていく。

(あぁ、数年前と同じ、罪を、犯す。もし朝になったというなら、糸を、切ってもいいの)


 出口は狭く僕は、
 僕は踊るよゆっくりと。それが罪というなら、赤にまみれ涙流す。
 外から声がした、
 最後に僕は足を出す。心安い水に、別れ告げて叫ぶ。


 歪んだ朝焼けが、
 この部屋を変えてく。彼女はちぎれそうに、息をあげている。
 歪んだ朝焼けが、
 この部屋を生にする。彼は赤子抱いて、彼女へ笑う。

 最後の夜だから、

 綺麗な朝だから、
 記念の朝だから、僕は声をあげて、空気を吸い込む。
 最後の夜だから、
 罪じゃないこれだけは。過去に彼女が流した、水子たちの祝福は。
 三人を包む拍手は、サンタクロースの贈りもの。


(雪の朝、日差しから、ワタシはまだ生きていていいよと言われた)


■ 253 ■

 され、
 さて、
 明日から飛んでみてる

 どこにも
 カラカ、
 カラカ、

 猫が飛んでいる
 ハラハ、ハラハ
 鳥

 どうして少年は鳥ではなかったのでしょうか

 ヒヒ、
 ひい、
 ふみよがいつむなしいって

 それは
 パスカルが外れたとき
 猫が飛んでいる

 パラハ、
 パラ
 こぼれてくる


■ 254 ■

 目 あめ あのひとの目
 こびんに入れたあのひとの目

 手 と手 とふれ て
 ながめまわしてる
 えぐ りとった あのひとの目


 目 と目 ゆびきたす目
 きざんで入れたあのひとの手

 あ とし とふれ て
 かみゆらしている
 なき たそうな あのひとの手


 し とし とりあえず目
 わたしも入れたけっこんの目

 手 も手 も入れ て
 いっしょにのぼって
 しぬ きだった? ころしたつ目


■ 255 ■

 ナイフをひとつ 用意シマス

 サァサァひとつ 道化師の声で

 恋は 故意に 交錯し

 サクリと孵す その行為は恋?


■ 256 ■

 君の手
 落ちる落ちる 落ちる落ちる 朽ちてく朽ちてく
 落ちてく朽ちてゆく
 その――カンヴァスは閉じ込められた

 死 し て も な お そ の
     (落ちる落ちる 落ちる落ちる 朽ちてく朽ちてく
     (落ちてく朽ちてゆく
 目には 宿る 不快の真実

 雫を落として落として落として 崩れる崩れる
 崩れる間際にはひどくヒビ割れた
 幻像をのこし

 たとえば仕草を 暗に含んで、ネぇ

 崩れて崩れて 崩れて崩れて 朽ちてく朽ちてく 朽ちてく朽ちて
     (沈 ん で な お そ の
 朽ちてく朽ちてく 朽ちてく朽ちてく あられもあられも あられもあられ
     (あ ら れ も な い 声

 横たわる篭には
 横たわる一羽が
     (羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき
 もう
 誰にもなれない
 何にもならない
 羽が止まらない
 これらは
 落 ち て い く 窓 際

 知らされては
     (羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたいて
 もがき耐える
     (羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばた

 本当のことを言わないなら 本当の世界にすればいい
 擦り付けては描いていく
 すべて忘れ
 すべて忘れ

 辿り疲れては祈り筆先の上を舐めて折る

 誰もが動かない部屋
 誰もがいない部屋
 誰もが 誰が誰が誰が誰かが

 落ちてく落ちてく 落ちてく落ちてく 朽ちはて朽ちはて
 落ちきり朽ちはてる
 その――カンヴァスを閉じ込めたのは

 死 し て も な お そ の
     (落ちてく落ちてく 落ちてく落ちてく 朽ちはて朽ちはて
     (落ちきり朽ちはてる
 手には 流る 二人の現実

 雫が落ちてく落ちてく落ちてく 倫理が朽ちてく崩れて崩れはて
 もう――我慢すらできない衝動


 たとえば腐臭を 口に含んで、ネぇ

 このまま放さない、 そ の  青い 鳥


 落ちはてたものは 朽ちはてたものは
 生果てたものも全て忘れて
 底に散りばめたインクの中でのみ眠る


■ 257 ■ 田園に死す ■

 あなたは存在 この日は草食
 細羽が雲に切られる装置
 この日は草食 あなたは混在
 水を流しては木板の装置

 田 園 なる四角の――そで を、ちぎり。
 飛べなくなる***破局を前に、試みた。

 あぁ奇跡を信じ 殺される
 ギンヤンマ の 目玉


 あなた、の 全ては田園に死す。子供の狂喜
 わたし、の 全てを田園にして。反射の思想
 わたし、の 全てを田園にして。昆虫*偽装

 あなた、の 全ては田園に死す。卵子の浮揚

 あなたは装飾 この日は晴天
 わたし魔術師であぜ道平均
 この日は干天 あなたは混雑
 遠いサイレン 虫の平均


 田 園 なる四角の――どろ に、心打ち。
 銀色をさらに***百年すると、試みた。

 あぁ浄化を信じ 沈まれり
 笹舟に乗せた異体
 あなた、の 全ては田園に死す。動かぬ目羽
 あなた、の 全ては田園に死す。静止の稲穂
 わたし、の 全てを田園にして。嚥下と位牌

 わたし、の 全てを田園にして。草食*人間


 わたしの髪 緑の草に
 わたしの顔 水面の泥に

 腐 敗 田 園 ワタシロジィク

 あ の飛べないあの 飛 べ ない まだ飛べな いまだ飛べ
 あぁ――埋葬は
 不朽に続く   晴天よ

 あの飛べないあの棒の身*卵を口に――
 ギンヤンマギンヤンマギンヤンマギンヤンマ 銀 ヤンマ 
 ギン ヤンマ
 笑い
 その全てを
 風を
 見てる、稲穂よ!


 かお りかお りかおり香り かお りかお りかおり死す。
 遊びだからこんなの(しにたくない)ただの遊びだからねただの
 遊びだよこんなの(しにたくない)ただの遊びだからね
(しにたく***)

 あなた、の 全ては田園に死す。羽音も無言
 わたし、の 全てを田園にして。食した罪は
 あなた、の 全てを田園にしす。痙攣*離脱

 わたし、の 全て 田園に死て。


■ 258 ■

 あしたの懺悔に 耳をかたむ
 け
 る
 の はなぜですか
    キイロイ 子犬を手にかけたば かりに

 しろい祈りに 跪いてし
 ま
 う
 の はなぜですか
    キイロイ 子供の手をふりはら えない

 あの日 見つめていた
 けして忘れない
 てを
 よ こに .


■ 259 ■

 1609号が発車する寸前に飛び乗って
 宇宙からはこの在来線で行こうと決めていたので
 キンキンに冷えたヘリウムの欠片を手に
 空いている席へ座りました

 となりよろしいですか?
 あいでうぞ

 わぁ私汽車なんて初めてなんですよぉ!
 そうでうかそれハそれハ

 あなたはどこの星から来たんですか
 私は地球
 腕も二本しかないし
 足も二本しかないの
 青いところ
 とても深くて
 青いところ

 星めぐりの歌をうたうと乗客が眠りはじめて
 トトンタタン決めていたので
 宇宙からはこの在来線で逝こうと決めていたので
 窓を開けて飛び降りたのです

 とても深くて
 黒いところ


■ 260 ■

 昨日
 人が死んだ

 おとといも
 そうだ

 その前も
 その前も

 最近
 夢の中で

 僕はそれらを感情も持たずに

 ただ
 見ている





--Presentation by ko-ka--