■ mai zd uru utu si zd uka ■
■ 221 ■
そろそろ
絶望と失意の違いを教えてくれないか?
質問したのに黒い羊は
僕をおきざりにして歩き始めた
慟哭は
ノートルダム
頭の奥は
スノーマインド
ノースモーキング
ノーセイド
ノーゼツボウ
脳失望
■ 222 ■
■ 223 ■
真夜中の
一本道の街燈を
眼鏡とマスクとマフラーで
完全防備で見るでしょう?
そして
息を吐くでしょう?
あっという間にくもるでしょう?
眼鏡は白く
マスクも白く
真夜中白く
くもるでしょう?
街燈がにじむ虹色ににじむ一直線の
虹の国
私って ねぇ
冬が好きでしょう?
真夜中に
よく行くでしょう?
虹の向こうのあなたの部屋の
膝の隣とか好きでしょう?
息を
吐くでしょう?
■ 224 ■
■ 225 ■
失われた フォルクローレ かすれた 笛の音 弦をはじく
太い指 黒い肌 赤い ポンチョ 雲の谷 エン ウナ
タルデ 踊ろう 昼は リャマ と う も ろ こ し
ケーナ バイバイ ボーイ 抜ける 石 太陽 祭壇 花祭り
少女 少年 足 大地
雪を知らない筈なのに
なぜ こんなに懐かしいのだろうと
ワタシは帰りのバスの中で涙した
■ 226 ■
午前こっぴどく叱った部下が
ふてくされたまま席を立つ
追いかけた
休憩室の
うつむく青年は
若い頃のワタシにそっくりで
たまらず
声をかけた
「今晩、一杯どうかね?」
新橋の
おでん屋で
目を泳がせている部下を
過去のワタシを
精一杯はげました
青年は泣き顔で
「ありがとうござます、部長」
大根をほおばる
奢ろうかとも
思ったが
財布には残り二千円
しまった
下ろし忘れた
会計レジのまん前で
過去のワタシが茫然としている
部長に叱咤された午後
休憩室のベンチで
また部長に会った
正直
一緒にいたくない
顔をそむける俺に
部長はゆっくり近付いて
今晩一杯やろうと言った
新橋の
おでん屋で
部長は俺を激励した
昼とは違って
やさしすぎて
なんだか涙が出てきたけれど
おでん代は
きっちり割り勘だった
■ 227 ■
いつかは問われる
そのときまで眠るつもりなのか
■ 228 ■
今日死んだら明日はない
それは判り切った事なのに
どうしてか誰も気にしない
後悔さえ明日にならなければ
コンマ一秒のバーを跳びこえ
首をそって振り返らなければ
ジャンプして
輪の中に明日が見えた
半分だけ身を出して
今死んだら今日もない
それは判り切った事なのに
心安い自分がいた
■ 229 ■
月の
光を背に受けて立つ君は
銀色の
少女のよう
素足をひたした
海のゆりかご
こぼれる
涙は 何時か
星星を抜けて闇へ
遠くへ
それでも失わないだろう君の
心の輝き……
■ 230 ■
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