■ mai zd uru utu si zd uka ■


■ 221 ■

 そろそろ
 絶望と失意の違いを教えてくれないか?

 質問したのに黒い羊は
 僕をおきざりにして歩き始めた

 慟哭は
 ノートルダム

 頭の奥は
 スノーマインド

 ノースモーキング

 ノーセイド

 ノーゼツボウ

 脳失望


■ 222 ■

 白い雪 さよなら口づけたあと
 な んども

 問いかけた キミはどこへ行ったのと


 その日は
 まるで
 世界の終わり
 あの日と
 おなじ
 小指のピンク

 あなたと
 後ろ
 ついてきていた
 あなたが
 どこにも

 居ないよ

 白い雪 ひつじが涙ポトリと
 お とした

 逢いかけた 天国からの幻想


 居ないよ


 白い雪 さよなら口ずさむとき
 そ そいだ

 愛だけが ホンモノだと今でも

 言える よ


             。


■ 223 ■

 真夜中の
 一本道の街燈を
 眼鏡とマスクとマフラーで
 完全防備で見るでしょう?

 そして
 息を吐くでしょう?

 あっという間にくもるでしょう?
 眼鏡は白く
 マスクも白く
 真夜中白く
 くもるでしょう?

 街燈がにじむ虹色ににじむ一直線の

 虹の国


 私って ねぇ
 冬が好きでしょう?

 真夜中に
 よく行くでしょう?

 虹の向こうのあなたの部屋の
 膝の隣とか好きでしょう?


 息を

 吐くでしょう?


■ 224 ■

 ひ だけ全部貝
 だなんだと叫んでい
 く その薄闇は
 奏でられた 偽者

 ゆれふれふれふれ

 ひとつだけの空の 窓から歩く
 落とされかけた 愛を

 ゆれふれふれふれ

 はじをつまめば雨 その口付けで
 燻しられた コアコア

 ゆれふれふれふれ

 あらわれては 消えてく 変わり果てた 煉獄
 ゆれふれふれふれ
 リャマも泣いた 霧守 いつでも少女は 踊

 る から黒い肌
 鈴やなんやら叩け
 ば その足音は
 陽気な神の 偽者

 ゆれふれふれふれ

 かぎりない水上の 薬草を羽織る
 軽やかにうたう 鳥は

 ゆれふれふれふれ

 ふたつめの星跡に 詩を重ねれば
 叫びさす記憶 の波

 ゆれふれふれふれ

 あらわれては 消えてく 変わり果てた 天国
 ゆれふれふれふれ
 きみの葉を左 に見て あの向こうは マチュ・ピ

 チュ 雲の行先
 調べあげたひざも
 と  この雪蟲は
 伝えられぬ 偽者

 ゆれふれふれふれ

 死ぬのは生きるのと
 似
 手を蒸らした 朝のこと

 れはれはれはれ

 生きるのは死ぬのと
 ち
 がうから夜も 明かりを

 れはれはれはれ

 祈り続けた 昼を 壺に閉めて 君のこと
 れはれはれはれ
 時は幾度も 流れてく あの向こうは マチュ・ピ

 チュ
 乾く水晶
 詠いつかれた 朝に
 割れる石を
 鍋にぶつけた 昼に

 れはれはれはれ

 死ぬのは生きるのと
 似
 瑠璃を縫った 夜のこと

 れはれはれはれ

 生きるのは死ぬのと
 ち
 がわないと老婆は言 う

 れはれはれはれ

 擦れてしまう 皮膚に 白い粉をまぶす婆
 れはれはれはれ
 ここは天国の 檻 ここは飛べない マチュ・ピ

 チュ
 涙もなく
 眠りたくない 朝に
 芋を煮れば
 鍋から出した 昼に

「これで終りなのだ」と ゆう


■ 225 ■

 失われた フォルクローレ かすれた 笛の音 弦をはじく
 太い指 黒い肌 赤い ポンチョ 雲の谷 エン ウナ
 タルデ 踊ろう 昼は リャマ と う も ろ こ し
 ケーナ バイバイ ボーイ 抜ける 石 太陽 祭壇 花祭り
 少女 少年 足 大地


 雪を知らない筈なのに

 なぜ こんなに懐かしいのだろうと

 ワタシは帰りのバスの中で涙した


■ 226 ■

 午前こっぴどく叱った部下が
 ふてくされたまま席を立つ

 追いかけた
 休憩室の
 うつむく青年は

  若い頃のワタシにそっくりで

 たまらず
 声をかけた

   「今晩、一杯どうかね?」

 新橋の
 おでん屋で

 目を泳がせている部下を
  過去のワタシを
 精一杯はげました

 青年は泣き顔で

   「ありがとうござます、部長」

 大根をほおばる

 奢ろうかとも
 思ったが

 財布には残り二千円

 しまった
 下ろし忘れた

 会計レジのまん前で
 過去のワタシが茫然としている


 部長に叱咤された午後
 休憩室のベンチで
 また部長に会った

 正直
 一緒にいたくない

 顔をそむける俺に
 部長はゆっくり近付いて
 今晩一杯やろうと言った

 新橋の
 おでん屋で

 部長は俺を激励した

 昼とは違って
 やさしすぎて
 なんだか涙が出てきたけれど
 おでん代は

 きっちり割り勘だった


■ 227 ■

 いつかは問われる

 そのときまで眠るつもりなのか


■ 228 ■

 今日死んだら明日はない
 それは判り切った事なのに
 どうしてか誰も気にしない

 後悔さえ明日にならなければ
 コンマ一秒のバーを跳びこえ
 首をそって振り返らなければ

 ジャンプして
 輪の中に明日が見えた
 半分だけ身を出して

 今死んだら今日もない
 それは判り切った事なのに
 心安い自分がいた


■ 229 ■

 月の
 光を背に受けて立つ君は
 銀色の
 少女のよう
 素足をひたした
 海のゆりかご
 こぼれる
 涙は 何時か
 星星を抜けて闇へ
 遠くへ
 それでも失わないだろう君の
 心の輝き……


■ 230 ■

 まきまきまきまき巻き戻し
 糸まきまき糸まきまき引いて巻き戻し
 コロコロコロコロ
 まきまきしまきました巻き戻し
 ウソウソウソウソウソウソウソウソウソ
 まきまき戻しまき戻しまきもどうしてあんなヤツと
 グチグチグチグチ
 まきまきまきまき巻き戻し
 糸まきまき糸まきまき引いて巻き戻し
 ツルツルツルツル
 巻き戻しちゃえばいいんだよ赤い糸なんて
 まきまききましたきり巻き戻し
 ザクザクザクザク
 まきまきまきまき愛してる愛してる愛してる愛し

 ザクザクザクザクザクザク
 ザ―――――――――――――――――――――――――――――




--Presentation by ko-ka--