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■ 201 ■

 はいそうです

 親指が いたいんです

 関節が いたいんです

 冠雪を みたいんです

 艦船を みたいんです




 はいそうです


 か
 つぎのかた


■ 202 ■

 王様とは
 雪のようなもの

 平等に降ったつもり


 自慰行為に溺れそうになった
 まだらな白は
 これは雪ではない

 君は毎月 血を出すよね
 きっと牡丹と逆さの死に方


 平民とは
 血のようなもの

 一定に流れゆくつもり


 さあ


■ 203 ■

 ちらちらと降る雪の静けさとともに
 行灯の蝋が解けてしまった
 
 もう 帰れないのだろう
 
 そんな気がして
 
 門のすぐ隣に柳がしだれ
 薄青の 首が 映えてた
 どんな罪がなんて誰も聞かない
 ただ一つ 両手 あわせて
 
 この世に 誰も彼も
 死んで良い人など居ない
 
 そう思うのはきっと僕だけで
 
 選ばれた者が裁きを下すときは
 
 白い
 
 死装束が
 
 華と散る
 
 願いは叶わないなんて嘘だと言って
 本当の言葉 聞けない
 舞い落ちるこの雪の 灯を消して
 本当は そんなのわかっていた
 
 この世に 誰も彼も
 悲しむ人など居ない
 
 そう思うのはきっと僕だけで
 
 悲しむ貴方が裁きを下すときは
 
 赤い
 
 死装束が
 
 雪に交じる
 
 あの星とあの雪とあの首の色が
 全部同じと 見えてしまえ
 つた落つるこの涙 誰を想うの?
 本当は 誰も見えてなどいない
 
 もう 帰れないのなら灯を消して


■ 204 ■

 その箱達 鍵をかけて
 心の奥の 氷原の中へ


 凍って 凍って 凍って


 雪に 埋もれてしまえ


 あの命日 忘れていたのに
 躓いた時 拾ってしまった


 暖めても 凍ったまま
 流れた涙 箱の墓場達


■ 205 ■

 苦しげなバラード
 うみのくじら
 雪月花
 ガスコンロ
 たこやき
 焦燥感
 メロドラマ
 橙色の棒
 ホログラム
 経験値ゼロ
 あくあ
 ダイレクト
 蜜の味
 天然痘
 コードレス
 パッキャラマオ
 ししるいるい
 エネミー
 接種
 登録
 かなきりごえ
 ミシン
 懸念される
 湖畔の宿
 夢屋
 ジャンジャンマンの若松
 トラネット
 ぐみ
 規律保持
 ケルン大聖堂
 ししとう
 グラーミー
 プロペラ
 ひも
 蜻蛉の遺書
 偶像崇拝
 立夏
 ドメスティックラブメイカー
 黒い残像
 涼
 黄色
 さんかく
 アオミドロ
 カムパネルラのベルト
 ギロ
 凍ったラーメン
 お手
 しゃしゃりでる
 ミルメイク
 ゴム風船
 蜜柑
 すじの通ったふき
 マフラー
 笑って
 口説いてるつもりなんだけど


■ 206 ■

 桜咲いたのに雪が舞う月夜

 君たち
 舞う場所間違えてるね

 どうにか
 桜へゆずってあげて

 僕らは
 そんなに急いでないから

 今度の冬まで待ってるよ


■ 207 ■

 おどついの雪で作った城さ
 春のよながに齧られだんず

 まんどろだぁ
 月っこ歩いてこっちさ来るじゃあ

 芽踏まぬように
 のっつのっつど
 お迎えの
 お菓子ど思って食ったんだべなぁ


 おどでなァ わぁゆぎで城ばつぐったんだばって
 春のよながさ齧らいでまってしつァ なーんぼな

 まァーんず今日だばしンばれでまってェ さびべ
 わいィー なーんぼまんどろだっきゃあらァ
 あい月っこ 歩いてこっつぁ来るんでねべがァ

 芽っこ踏まねったらにして
 のつのつどろッ
 たげだばむがえの
 あめモンだど思ってクてまるんでねべがぁ


■ 208 ■

 カムパネルラは夜踊る

 さざ波のような音が鳴る

 黒い棒線その先灯り

 三日月の雪が消えるまで

 指先にかかる銀色ナツメ

 鉱石ラヂオは星照らす


■ 209 ■

 第5章13節

 短い髪は闇の色
 見透かす瞳は月の色
 砂の山を歩く蠍と
 彼がつぐむ声だけが
 宝の道標となるだろう

 ベドウィン族の唄には
 こういった宝のありかを示す
 唄が数多く残されている
 しかし それはぼやけて
 宝など見えやしない

 それでも人々は
 唄をたよりに砂漠を歩き回る
 見つかるのは
 蜃気楼のオアシスと
 月にひたる砂と
 無くならない地平線

 なぜ探そうとするのか
 身近な幸せは要らないのか

 ベドウィンの長は言う
「探すのは本能に勝てない
 愚かな欲望たちだ」
「我々は唄を考えた者が
 何を言いたいのか良く解っている」
「だから唄うだけなのだ」

 この唄は
 独りの時にしか唄うまい


■ 210 ■

 第6章 32節

 イカロスの父である 発明家
 ダイダロスのの造った 迷宮に
 糸巻き5つと 食料を持って
 足を 踏み入れてみた

 窓を見つけたのは 5つめの糸巻きが
 半分近く無くなったときである

 下は 断崖絶壁の 海
 上は 快晴で太陽と 空

 窓は ここだけだと 直感

 閉じ込められた イカロスの 翼
 ダイダロスの 屈折した 愛

 勇気などいらない
 ただただ重力にまかせたのか
 風の気配は感じられず
 私は 糸をたどり
 ココから出ることにした




--Presentation by ko-ka--