■ mai zd uru utu si zd uka ■


■ 141 ■

 アメジストの宝石箱に
 綺麗な記憶をたくさん詰めました

 七色に光るたくさんの雨
 不可能だった奇跡にキャラメルをかけて
 トロンと落ちたあの水滴

 秘密の嫉妬
 繊細な殺意

 手に入らない 彼女の笑顔まで


 それから一等綺麗なフォルムで

 三角の椅子から飛ぶ

 宝石箱は
 イーゼルの足下に置いたまま


■ 142 ■

 見えるよ 恋が
 見えるよ 愛が

 見えるよ未来の あなたの子供

 見えるよ 生が
 見えるよ 死が

 見えるよ未来の あなたの葬儀

 見えるよ 先が
 見えるよ 先が

 見えるよ未来の あなたの来世

 見えるよ 生まれ
 見えるよ 死んで

 見えるよ未来の あなたの輪廻

 見えるよ 永遠
 見えるよ 一瞬

 見えるよ未来の あなたの選択


 見えるよ

■ 143 ■

 鏡に向かって
 毎日
 毎日
「おまえはだれだ?」
 毎日
 毎日
 鏡をみるたび
「おまえはだれだ?」
 毎日
 毎日
「おまえはだれだ?」
 毎回
 鏡の向こうに見える顔は
 だれだ?
 おまえは
 だれだ?
 おまえは
「おまえはだれだ!!」
 鏡の向こうの
 知らない
 知らないぞ!
 毎日
 毎日
 こっちを見ている
 毎日
「だれだ! みるな、やめろ、おまえはだれだ!?」
 鏡の
 中の
 お前はニタリと笑って

「……お前こそ誰だよ」

 あああああああああああああああ!!!!


■ 144 ■

 真っ赤な傷は癒え
 かさぶたを経て古傷となる

 戦争を経験した戦士たちの記憶には

 それでも
 あの刹那の緊張が
 鮮やかに残っている

 背中の勲章が
 癒える時はもうない


■ 145 ■

 D-VaitBite! D-VaitBite! D-VaitBite! C.A.T.G.
  D-VaitBite! D-VaitBite! D-VaitBite! C.A.T.G.

 王は死んで神になり
 お前もいつかは 神になって
 天空の城の陰から
 民衆を眺め 嘲笑うのだろう

 計画は
 暴かれた
 組曲を
 奏でた 道化師の顔歪めて

 磔にした観客どもと 君が待つ約束の丘へ
 革命をさあ始めよう 俺が今から第五神話を穿つ

 D-VaitBite! D-VaitBite! D-VaitBite! C.A.T.G.
  D-VaitBite! D-VaitBite! D-VaitBite! C.A.T.G.

 賢い幼少時代
 自意識の狭間ふれる思春期
 誰もが一度は持った
 危険な思想を この手に集めて

 つま先を
 揃えたら
 拳銃を
 構えて 鮮やかに晴れた空へ

 荒廃した地上に二人立ち むせかえる死臭を纏って
 神話をさあ始めよう  君を抱きしめまぶたにキスを

 新世界の神々が 祝福の雨を連れてくるだろう

 D-VaitBite! D-VaitBite! D-VaitBite! C.A.T.G.
  D-VaitBite! D-VaitBite! D-VaitBite! C.A.T.G.


■ 146 ■

 信じていた陽炎が
 時間とともに融けた朝に

 千年王のこと神経が
 うずいて
 やまなかった

 過去形に固執した午後
 正直に直訴した

 狙わないでおくれ

 所詮は
 金のためさ


■ 147 ■

 虜囚のシャツに穴が 空いた
 首をつっこんで外を 覗いた

 秋晴れの稲穂がざざ 映った
 幼いころのおもいで だった

 誰かの背中が見えた 母親だ

 そうだ あの丸い背中を俺が
 嫌いだ と言ってしまった日
 凪いだ 稲穂がざざ非難して

 泣いた 旅愁のシャツを脱ぐ
 空いた 穴を引き裂く仕草で

 しばらく震えて手を 下げた

 窓に虜囚の泣き顔が 映った


■ 148 ■

 激しく 染めて
 妖しく 求め
 悲しく 笑い なにもかもを脱ぎ捨てて

 激しく 突いて
 妖しく 喘ぎ
 悲しく 啼けば 飛び立てると信じている

 赤い月の瀬
 海が満ちたね
 青い鳥たち
 散る
 散る

 黒の砂の絵
 空が足りない
 白い箱舟
 散る
 散る

 亡霊たちは ゆらがないで
 幻覚底へ 裸足の爪先を
 二人の恋は 誰にも言わず
 桃源郷へ 散る、散る、満ちる

 激しく 振って
 妖しく 返し
 悲しく 髪を すくった影落ち

 激しく 朽ちる
 妖しく 充ちる
 悲しく 願い 届かない月のように 眠る夜


■ 149 ■

 細い指に触れた霧の青さ 遠くに揺れる
 時折 、
 覗き見える廃墟の柱

 座る腰に濡れた霧の青さ 遠くに揺
 もし 、 きみ
 必ず眠ると信じて

 細い髪しびれる君の青さ 遠く
 篝火 、 揺れる

 時折 、
 覗き見える廃墟の

 玉座 、


■ 150 ■

 十字架

 僕はとてもとても酷い人間なんです
 あらゆる嘘を集めた箱を造りました
 その中に貴女をほうりこんだのです

 ごめんなさい

 ごめんなさいエイメン


 だって僕はもう戻れない
 僕が神様だなんて

 嘘です




--Presentation by ko-ka--