■ mai zd uru utu si zd uka ■


■ 131 ■

 名もなき髪に
 ふるえる指が
 ふれて
 風をだきしめた

 あなたの言葉
 別れを告げて
 キスを
 させてもくれずに

 石が
 かさなりながら
 丘を
 のぼるように

 あなただけを願うのが
 こんなにも終わりになる
 その未来
 消えれば
 いい

 わたしだけ願う指
 その背中おしてしまう

 転がって
 いくあなた
 追いかけ

 わたしの足が
 風に

 あなただけを願うのが
 こんなにも消えてしまう
 からまった
 髪の毛を
 ほどいて

 あなたの瞳を閉じる

 わたしを
 呼ばずに
 閉じる


■ 132 ■

 打ちつける
 壊されて
 いくのです

 あの日のことはよく覚えています
 止まらない
 止まろうとしない警報は
 昼の空襲を伝えていましたね

 季節が過ぎても
 家は廃墟のまま
 開け放たれた戸口から自然が侵食し
 戸棚の中にあった
 おみやげすら

 ガ、 ギ、ギ、 ……ッギ、

 歪んでいるのですね
 よくわかります
 もう二度と開く事の無い内側は
 腐っていると
 そう

 そうと思わせてください

 虫の住処になっていると
 まだ
 価値を
 お国のお役についぞ立てなかった
 あわれに
 細りながら
 それでも生きていて良いのだと
 
 背を向け逃げ出しても時代の所為と

 わかっています
 胸に打ち続ける
 朽ちてもなお残る記憶を持って
 悔いて
 いるのです


■ 133 ■

 嘘を重ねたって そんなのは ムイミ

 その言葉が
 仕草が
 あなたの全てが

 あなただという 事実を 受け入れて

 瞳を開くとそこは
 大きな言葉の河が
 あなたという大地をわたり
 紡がれる
 物語を

 待っているんだ あなたを 愛する人

 衝動的でいい
 苦しくたっていい
 吐きだして
 なふりかまわず走って
 間違って
 死にそうで

 それでもいい
 それがあなた

 読んでごらん あなたが 愛した物語

 そこには 正解なんてひとつもないし

 消していいものなんて ひとつもない

 これからもそう

 ここからは

 みんなそう


 だから


 嘘を重ねたって そんなのは ムイミ


■ 134 ■

 パンケーキ焼いてくれたら不快感、少しは軽くなるとおもうの。


■ 135 ■

 他の男と並んで歩いている様を遠くから見ていた
 早鐘を鳴らしたのは神ではなかった
 ベッドに倒れこんだ
 ついでにクッションを窓に投げつける
 わきあがったカビのように臭い
 あいつのニオイだあの香水のケバケバしい臭いを嗅ぎたい
 今から動物のようにあの男と交わるのだろうか
 最中に割り入って刺し殺してやりたい
 なぜだ
 なぜだ
 なぜだ
 なぜだ
 なぜだ
 なぜだ
 シッ・ダウン
 ゲッ・ダウン・ゲッダンゲッダンゲッダン
 世界中が動物なんだぶち切れる血管も動物だということ
 関係なんてどうでもいい
 言い訳なんて聞きたくない
 女々しい野郎だなかきむしる熱情があるなら今すぐ立ち上がるんだ
 立ち上がれ!
 そして
 そして
 そして
 そして
 そして
 ハッ、ハ、ハ、ハ、ハ、
 あからさまなフレンチボウイ
 切り崩してしまえばいい
 もうとっくにこちらは崩れている寸前なんてとうに終わっている
 嗚咽とやらが格好わるいなら
 ボウイ
 飛び出して
 嫉妬とやらが格好わるいなら
 ボウイ
 俺だ
 もうとっくに限界まで格好わるくなっている


■ 136 ■

 すべてが必然であるならば

 神よ ワタシを死なせておくれ
 神よ あの人を生かしておくれ

 もう 願うしかなかった

 そして ワタシは死なないで
 愛しい あの人は死んでしまった

 あの日が必然だったとしても

 神は ワタシを裏切った
 神は ワタシを裏切った

 だから 願うことをやめ

 神は死に その亡骸から光があふれた


 光が


 愛しい人の その横に

 神の 亡骸で作った
 神の 十字架をたてました

 光が

 ワタシは ずっとそこに座り
 光がさす 一瞬の恍惚を待ちわびます

 光がワタシに死を告げるまで


■ 137 ■

 1
 乾いた壺の蓋は湿らせた包帯で五重に巻きましょう
 中身がこぼれ 落ちないように
 2
 苦痛に顔を歪めている王様の肖像画は捨てましょう
 後世の者が 勘違いしなように
 3
 鎮魂歌5曲に対し讃美歌は1曲にしておきましょう
 時には息抜きも 必要なのです
 4
 大通りの商店街に飾られたニレの花は枯れましょう
 南の風に 弱ってしまう
 5
 棺から王様がもし起き上ったとしたら殺しましょう
 苦痛の目 響く歌 散り春花弁と眠らせましょう


■ 138 ■

 白い手 吐いたこの街の鳥は
 皆 片翼の罪びと

 この胸に 咲いた明け方の露は
 皆 輝きもなく

 開いていた
 すべを探した足跡
 機械の道には
 夜を
 捨ていくだけだしね

 砦と花びら
 地図を
 かなで それで いいよね?

 ひとりで 悔いたこの世界のマワ
 皆 片翼で泣くだけ

 ほらひとりで 飛べず 震えている足
 皆 上を見て

 機械の道から
 朝を
 拾って


■ 139 ■

 GANTEIにて沈殿
 その後の行方を記す

 泡を吐きながら沈むMIDORIの三つ編みは
  空気よりも数秒遅く浮き
 くねった奇妙な踊りがやむと
  そのままSIZUKAに横たわった

 明日にひかえた祭り
 湖年に
 千度の
 清月の 六曜日にこそ開かれる

 MIDORIの花被(KAHI)を食べるのがどうしても嫌だったの

 横たわる
 髪をすくい
  つうりと垂れる液体が
 そこかしこに散るあの花被に
  はたはた
 六度
  舐めるよう

 手を櫛に梳いた
  不在が 月に変わるよう


■ 140 ■

 白壁|君&_λ私___その他戦場***
 本当に  怖ろしいのは死せる間際の懇願


 カラシニコフは
 闇市で手に入れた代物 代金相応の手入れ
 お前のコルトは錆付いて
 撃てたとしても
 勝ち目は無い

 背後では爆撃が
 耳をゆすヴるがもう慣れた 回線を遮断する
 座り込んでいる
 お前の唇に合わせる


 生きているうちは死ぬ確率が100%を下回ることは無い
 ただ
 上回ることがあるってだけだ
 確実のなかの確実を
 数字に表してみたかったのさ


 「200%」

 「いいや、5000%でどうだ? 50%&%」
 「どういうことだ?」

 「俺は50%の確率で」


 撃った拳銃
 肩に衝撃
 残念だ
 本当に      どちらが?

 左に隠し持っていた
 ベレッタの引き金を引く どちらが?


 カラシニコフは
 闇市で手に入れた代物 弾はない
 君の位置に私を置いて
 当分は生き延びれる

 確率 50%&% __〆その他戦場***




--Presentation by ko-ka--