■ 41 ■


 あの雪喰えば
  救われるだろう


 カタルシ吸えば
  救われるだろう



 掛け値の黒い羊天下のさゆに
 書かれた白い羊サラケダス?
 電波の届く知らせ飛び出せば、キマァはだけだして木霊する


 遠く 響く 謎の 家は
 広く 暗く 臭い だした
 君は 詩集を ひらいて 自慰しはじめた


 軽く 擦る 缶と 瓶と
 僅か 零の 壁の むこう
 僕は 明日を 閉じては 眠ってゆく



 炎を押し込めた街 気づかないふりしてた


 あの屋根のきしね で見上けて?




 コードの黒い羊地上の囹圄
 ケタケタ白い羊皿に盛る?
 電子の手紙破り飛び出せば、キマァはだしの足こねまわす


 あの素晴らしい 白はなんという罪だろう
 煉獄ばかりじゃ ママに嫌われる



 早く 息を 晒し 細め
 静か 聖歌 罹り うたう
 彼は 着物を ずらして 誘っているよ


 朝が 花が 憂う 外で
 耳を 鼻を 口を つかい
 僕は 昨日を 閉じては 笑っている



 世界が消滅しかけ 気づいても遅すぎて


 あの部屋のはじで 手をあげて?



 オカシイ黒い羊海底の檻
 まぐわう白い羊サラケダス?
 電線タイツ脱いで飛び出せば、キマァはるは嘘で刺さりつく


 あの素晴らしい 白はなんという罰だろう
 天国ばかりじゃ パパに嫌われる



 あの雪喰えば
  救われるだろう


 カタルシ吸えば
  救われるだろう



 からくり黒い羊心臓がない
 だだれた白い羊涙する?
 電気の痛み契り飛び出せば、キマァはれた廃墟くずれゆく


 アテナの黒い羊悦びの精
 ハナッタ白い羊サラケダス?
 電脳きざむ博士飛び出せば、キマァはくと息が染め上げる


 あの素晴らしい 白はなんという罪だろう
 日常ばかりじゃ カミに嫌われる

■ 42 ■


 歌い
 雪は 涙のひとひらを
 風合わせて 優しく降らすけれど
 白い
 雪は 手のひらの罪さえ
 篩い堕とし 優しく揺らすけれど


 上を見上げてごらん?

 とめどなく「キレェ」が

 聞こえてくる



 奏でつたう 欲望のレティアナ
 首を振って-否定報せ-カタカタ-マワル
 明日の土が 最期を凍らせる
 踏込ませて-君の答え-カタカタ-クルウ

 数え
 雪は 苦しい足首も
 払いおさえ 優しく冷やすけれど


 上を見上げてごらん?

 素晴らしい「キレェ」が

 聞こえてくる



 色も消えう 眼光のレティアナ
 ゆび転がし-否定報せ-ケタケタ-マワル
 何も言わず 深く降り積もった
 踏込ませて-君と二人-ケタケタ-クルウ


 偶像が再び叫ぶとき
 この雪は全て融けるだろう

 その時君の腐り果てた肉
 僕がナイフほら切り出し

 雪解けと味わうだろう

■ 43 ■


 旋律かなで た
 演劇のよう に

 嘘でもいいか ら 僕の目を見て


 十字架かかげ て
 空を見上げて る

 悲しそうなき み 黄昏ている


 さあ手を取りあ う
 きらめきのリレ フ

 雪のうえでほ ら 笑顔見せてよ


 そして
 素晴らしいこえ で
 ころされておく れ

 恐怖が消えないならさぁそのステップ 踏み こんで



 旋律かなで た
 演劇のよう に

 嘘でもいいか ら 僕の目を見て


 そして
 なぜ愛情に は
 裏の手が蔭 る

 冗句が言えないならそうこのステップ 踏み こんで

■ 44 ■


 消えない 足を
 消せない 場所を

 さまよい続けて 飛び立つの 、

 かなしい 雨を
 かなぐり 捨てたら


 きみは何時までも

 きみは
  何時までも


 消えない 静か
 消せない 何かを


 きみは何時までも
   何時までも 子供のように


 かなしい 雪を
 かなぐり 捨てたら


 きみは何時までも
   何時までも


 さまよい続けて 飛び立てない 、

■ 45 ■


 死の光景が 身を焦がす
 吐き気のする 血の痕は長く
 手のひらで 震えている

 あの素晴らしい 雪の夜に
 鼓動がする 死にそうな


 唇あけ さまよう
 あともう少し生きてれば
 そばに 逝けるかな


 手のひらに 残っている


 それなら早く 殺せばいい
 その亡霊は 幻覚に変わり
 足首に 糸をたらすのに

 それなら早く 殺せばいい
 鼓動がする 血の痕は長く


 笑顔だけ 向けてる
 あともう少し生きてれば
 そばに 逝けるかな



 だからせめて もういくつも
 生きてはいないから
 その背中に 泣きそうな気がした

 腕の傷は もう明日も
 残っているだろう
 上を見れば
 雪が降って いる

 もう明日も


 雪が降って いる

■ 46 ■


(狂い咲く満月の恍惚とした光が注いだ、あぁ、数年前と同じ罪を犯す。ワタシを操るのはサンタクロースの糸)

 深い緋色の海で、
 光探し歩いてた。幼い密室は小さなまぶただけ閉じて。
 外から声がする、
 僕は汚くこなれた古く太い糸に、心引かれる。

 彼は苦しそうな、
 でも嬉しそうな顔して「あと何分ですか」と両手あわせ神に願う。
 彼女の腕をとり、
 生きてることをただ願う。虚ろな彼女の眼、互いに見つめあう。

 歪んだ朝焼けが、
 この部屋を変えてく。彼女はちぎれそうに、痛いと叫ぶ。
 悲鳴は続いてる、
 最後の夜だから。太陽は昇りきってサンタクロース帰っていく。

(あぁ、数年前と同じ、罪を、犯す。もし朝になったというなら、糸を、切ってもいいの)


 出口は狭く僕は、
 僕は踊るよゆっくりと。それが罪というなら、赤にまみれ涙流す。
 外から声がした、
 最後に僕は足を出す。心安い水に、別れ告げて叫ぶ。


 歪んだ朝焼けが、
 この部屋を変えてく。彼女はちぎれそうに、息をあげている。
 歪んだ朝焼けが、
 この部屋を生にする。彼は赤子抱いて、彼女へ笑う。

 最後の夜だから、

 綺麗な朝だから、
 記念の朝だから、僕は声をあげて、空気を吸い込む。
 最後の夜だから、
 罪じゃないこれだけは。過去に彼女が流した、水子たちの祝福は。
 三人を包む拍手は、サンタクロースの贈りもの。


(雪の朝、日差しから、ワタシはまだ生きていていいよと言われた)

■ 47 ■


 目 あめ あのひとの目
 こびんに入れたあのひとの目

 手 と手 とふれ て
 ながめまわしてる
 えぐ りとった あのひとの目


 目 と目 ゆびきたす目
 きざんで入れたあのひとの手

 あ とし とふれ て
 かみゆらしている
 なき たそうな あのひとの手


 し とし とりあえず目
 わたしも入れたけっこんの目

 手 も手 も入れ て
 いっしょにのぼって
 しぬ きだった? ころしたつ目

■ 48 ■


 君の手
 落ちる落ちる 落ちる落ちる 朽ちてく朽ちてく
 落ちてく朽ちてゆく
 その――カンヴァスは閉じ込められた

 死 し て も な お そ の
     (落ちる落ちる 落ちる落ちる 朽ちてく朽ちてく
     (落ちてく朽ちてゆく
 目には 宿る 不快の真実

 雫を落として落として落として 崩れる崩れる
 崩れる間際にはひどくヒビ割れた
 幻像をのこし

 たとえば仕草を 暗に含んで、ネぇ

 崩れて崩れて 崩れて崩れて 朽ちてく朽ちてく 朽ちてく朽ちて
     (沈 ん で な お そ の
 朽ちてく朽ちてく 朽ちてく朽ちてく あられもあられも あられもあられ
     (あ ら れ も な い 声

 横たわる篭には
 横たわる一羽が
     (羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき
 もう
 誰にもなれない
 何にもならない
 羽が止まらない
 これらは
 落 ち て い く 窓 際

 知らされては
     (羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたいて
 もがき耐える
     (羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばたき羽ばたき 羽ばた

 本当のことを言わないなら 本当の世界にすればいい
 擦り付けては描いていく
 すべて忘れ
 すべて忘れ

 辿り疲れては祈り筆先の上を舐めて折る

 誰もが動かない部屋
 誰もがいない部屋
 誰もが 誰が誰が誰が誰かが

 落ちてく落ちてく 落ちてく落ちてく 朽ちはて朽ちはて
 落ちきり朽ちはてる
 その――カンヴァスを閉じ込めたのは

 死 し て も な お そ の
     (落ちてく落ちてく 落ちてく落ちてく 朽ちはて朽ちはて
     (落ちきり朽ちはてる
 手には 流る 二人の現実

 雫が落ちてく落ちてく落ちてく 倫理が朽ちてく崩れて崩れはて
 もう――我慢すらできない衝動


 たとえば腐臭を 口に含んで、ネぇ

 このまま放さない、 そ の  青い 鳥


 落ちはてたものは 朽ちはてたものは
 生果てたものも全て忘れて
 底に散りばめたインクの中でのみ眠る

■ 49 ■ 田園に死す ■


 あなたは存在 この日は草食
 細羽が雲に切られる装置
 この日は草食 あなたは混在
 水を流しては木板の装置

 田 園 なる四角の――そで を、ちぎり。
 飛べなくなる***破局を前に、試みた。

 あぁ奇跡を信じ 殺される
 ギンヤンマ の 目玉


 あなた、の 全ては田園に死す。子供の狂喜
 わたし、の 全てを田園にして。反射の思想
 わたし、の 全てを田園にして。昆虫*偽装

 あなた、の 全ては田園に死す。卵子の浮揚

 あなたは装飾 この日は晴天
 わたし魔術師であぜ道平均
 この日は干天 あなたは混雑
 遠いサイレン 虫の平均


 田 園 なる四角の――どろ に、心打ち。
 銀色をさらに***百年すると、試みた。

 あぁ浄化を信じ 沈まれり
 笹舟に乗せた異体
 あなた、の 全ては田園に死す。動かぬ目羽
 あなた、の 全ては田園に死す。静止の稲穂
 わたし、の 全てを田園にして。嚥下と位牌

 わたし、の 全てを田園にして。草食*人間


 わたしの髪 緑の草に
 わたしの顔 水面の泥に

 腐 敗 田 園 ワタシロジィク

 あ の飛べないあの 飛 べ ない まだ飛べな いまだ飛べ
 あぁ――埋葬は
 不朽に続く   晴天よ

 あの飛べないあの棒の身*卵を口に――
 ギンヤンマギンヤンマギンヤンマギンヤンマ 銀 ヤンマ 
 ギン ヤンマ
 笑い
 その全てを
 風を
 見てる、稲穂よ!


 かお りかお りかおり香り かお りかお りかおり死す。
 遊びだからこんなの(しにたくない)ただの遊びだからねただの
 遊びだよこんなの(しにたくない)ただの遊びだからね
(しにたく***)

 あなた、の 全ては田園に死す。羽音も無言
 わたし、の 全てを田園にして。食した罪は
 あなた、の 全てを田園にしす。痙攣*離脱

 わたし、の 全て 田園に死て。

■ 50 ■


 あしたの懺悔に 耳をかたむ
 け
 る
 の はなぜですか
    キイロイ 子犬を手にかけたば かりに

 しろい祈りに 跪いてし
 ま
 う
 の はなぜですか
    キイロイ 子供の手をふりはら えない

 あの日 見つめていた
 けして忘れない
 てを
 よ こに .