■ 雨 ■


■ 1 ■

 ざあざあと 僕の事
 たたいてる この雨は

 遠い国では 嬉しくて
 海の上では お帰りなさい

 虹が見える でもまだ降ってる


 なぜだかさみしい 気分になってる


■ 2 ■

 傘からこぼれる 雫のカーテン
 泣いているのは 地面の暗さを


 どうにもできないから クルっとまわって
 小さな優しさを 当り散らす

 草気にはじけて 草木にあやまる


■ 3 ■

 雨が降る日に限って

 オルゴールは 虹色の音色を奏でる


 やわらかく 湿った空気を伝い
 耳の奥へと 潤んだ音色が届く

 少しだけなら雨を
 みなおしてやってもいい

 そう思えるような日に限って
 傘が壊れる ボクハカサヲササナイ


■ 4 ■

 雨が服を濡らした午後
 寒くて死にそうな身体

 同じ 水なのに
 どうして シャワーは

 こんなに温かい音を響かせるのだろう


 あの人に電話をかければ
 あたたかい僕の雨音と声 伝わるのだろうか


■ 5 ■

 雪だ!


 そう叫んだ朝
 気づいたら雨

 あぁ
 なんてことだろう?
 聞いてくれ
 唇に


 あてた瞬間雨に戻るんだ


 酷いじゃないか
 期待 させておいて

 酷いじゃないか
 雪を 殺しておいて


■ 6 ■

 そうかな
 雪と 雨は ちがうさ

 僕は氷点下がほしいんだ

 傘をささなくて済む
 積もって消える 氷点下を


 雨は青 雪は白 蒸気は透明で 僕は色


■ 7 ■

 飴が降ってきたことは
 あんまりないけれどすこし、ある
 カネマキの時頭にぶつかってきた 飴

 雨も

 甘いといいのに


 わざと風邪をひきたくて
 雨にうたれた夜
 次の
 朝も
 元気に出社

 頭すら 痛くならない健康体
 雨すら 受容れない不健康脳


■ 8 ■

 傘を さすことを
 オススメしたいけれど
 実は ボクは
 傘を壊す名人で

 だから 冬の雨だけは
 コートのフードをかぶっているんだ

 ナイショノはなし

 実は ボクは
 雨を呼ぶ名人で

 だから 春の雨だけは
 いつまでたってもブーツのままなんだ
 不幸の不を
 雨で流してあげよう


■ 9 ■

 いいやつ か
 明日も雨がふったら
 僕も
 ちょっとは正直に

 なれるの か

   な

 とにかく 春の雨で
 とにかく 冷たくて
 とにかく

   この

 悲しさを なんとかしたいと 上を向く


■ 10 ■

 なぜ
   もっともっと

 と
 人は
 強欲に
 なれるんだろう

 この
 雨が
   もっともっと

 降って
 くれたら
   もっともっと

 悲しみに浸れ
 そうなの
 に



--Presentation by ko-ka--