■ その胸に薔薇の花束を ■


 僕の懺悔を聞いてください。
 独りつぶやく、悲しみの言葉を聞いてください。
 
 この指でクロスを切れば、光の中に現る
 あの時の彼女の悲痛な叫びを。
 
 鎖を外して助けてくれと泣いていた
 彼女の胸に銃弾を
 
 とてもキレェな
 
 弧を描いてく
 
 白い乳房が
 
 紅く染まって
 
 この世界では、理不尽すぎる法則が力を持っている。
 
 悲しい涙を見たと思ったら、彼女はワラッテ僕に呪いを。
 
 僕は彼女を
 
 殺し続ける
 
 魂の空白を
 
 埋めるために
 
 こうして今夜も、棺の中で眠る彼女をさがして彷徨う。
 
 あと何度
 
 愛して
 
 殺せばいいか
 
 わからないけれど
 
 月夜の教会はとてもキレェで、涙をさそうよ。
 彼女の死臭がただよう十字架の前で
 
 僕は神なんて信じない。
 ただひとつこれだけ言える。
 
 
 生きる屍が僕にキスをしたら
 
 それが彼女だという事ー…。
 
 
 引き金を引く指は、思ったほど硬くもなく
 震えてもいなかった。
 
 僕はいつまでも君を殺し続ける。
 なぜなら僕は
 君を、これほども愛しているからー…とても
 あぁ……夜が、明ける。